平成元年版 通信白書

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第1章 昭和63年通信の現況

2 国際通信の動向

 (1)国際電気通信

 63年の国際電気通信については,我が国の国際化の進展を背景に,国際電話及び国際専用回線の伸びが続いている一方,国際電報及び国際テレックスについては需要の減少が続いている。また,59年以降,毎年のように国際電気通信料金の引下げが行われているが,63年においても国際電話をはじめとする国際電気通信料金の引下げが広範に行われた。
 ア 国際電気通信事業者の動向
 (国際第一種電気通信事業者)
 国際第一種電気通信事業については,63年度末現在,KDDはじめ3社が事業認可を受けている。
 日本国際通信(株)及び国際デジタル通信(株)は,63年12月に国際専用回線サービスにかかわる契約約款の認可を郵政大臣より受けた。これにより,日本国際通信(株)は平成元年4月に,また,国際デジタル通信(株)は平成元年5月に国際専用回線サービスの提供を開始した。
 (国際第二種電気通信事業者)
 国際第二種電気通信事業については,63年に新たに3社が登録を受け,63年12月末現在,13社が登録を受けそのうち10社がサービスの提供を開始している。また,登録を受けている13社のうち3社がサービス提供相手国を米国及び英国としており,残りはすべて米国としている。
 イ 国際通信サービスの動向
 (ア) 国際電話
 63年度上半期の国際電話の取扱数(発着信及び中継信の合計)は,1億1,958万回であり対前年同期比で35.8%増となっている。52年度からの取扱数をみると,国際電話回線を利用したファクシミリ通信あるいはデータ伝送の利用の増大等により,10年間でほぼ16倍と飛躍的に増大している(第1-2-25図参照)。
 こうした中で,63年9月に21.1%の料金の引下げを行ったことにより,今後一層の利用が見込まれる。
 日本,米国,西独及び韓国の加入電話の普及率と国際電話の発信の取扱数は第1-2-26表のとおりである。
 加入電話の普及率を人口100人当たりの加入回線数で表すと,日本が39.2回線,米国が45.2回線,西独が42.6回線と日本と米国,西独の差はほとんどない。しかし,国際電話の発信の取扱数についてみると,米国が日本の6.9倍,西独が6.8倍となっている。なお韓国についてみると,加入電話の普及率は日本の約半分であり,国際電話の発信の取扱数は約5分の1となっている。また,1加入回線当たりの発信の取扱数では,米国が日本の2.9倍,西独が12倍,韓国が1.4倍と,1加入回線当たりの国際電話利用率は4か国の中では日本が一番低くなっている。
 (イ)国際専用回線
 国際専用回線については,63年9月末現在1,452回線であり対前年同期比で14.8%増となっている。種類別にみると,電信級回線は減少しているものの,音声級及び中高速符号回線は年々着実に増加している(第1-2-27図参照)。
 (新国際第一種電気通信事業者のサービスの動向)
 日本国際通信(株)は平成元年4月に,また,国際デジタル通信(株)は平成元年5月に国際専用回線サービスの提供を開始した(第1-2-28表参照)。
 提供品目は,両社とも帯域品目,中速符号品目及び高速符号品目の3品目で,サービスは全国から利用が可能である。サービス提供相手国は当面,日本国際通信(株)が米国,香港,韓国及びシンガポール,国際デジタル通信(株)が米国,香港及びシンガポールとなっている。なお,両社とも平成元年10月に,国際電話サービスの提供を予定している。
 (ウ) 国際データ伝送
 国際公衆データ伝送(VENUS-P)の63年度上半期の取扱数(発着信及び中継信の合計)は,199万回であり対前年度同期比で10.2%増となっている。また,契約数については,63年9月末現在,約1万5,300契約(対前年同期比26.6%増)と大幅に増加している。
 (エ)国際テレックス
 国際テレックスの63年度上半期の取扱数(発着信及び中継信の合計)は,1,438万回で対前年度同期比24.4%の減少となっている。国際テレックスの需要は,59年度をピークに年々減少傾向を強めており,過去4年間で需要が約3分の2に減少している(第1-2-29図参照)。
 (オ)国際電報
 国際電報についても,63年度上半期の通数(発着信及び中継信の合計)は,42万通で対前年度同期比43.7%減,と減少が続いている。国際電報は,過去10年間で需要が約5分の1に減少した。
 このように,近年,テレックス及び電報の需要は電話,ファクシミリ,専用回線及びデータ通信へと急速に移行していると考えられる。
 (カ)国際テレビジョン伝送
 国際テレビジョン伝送の63年度上半期の伝送時間は対前年度同期比の32.1%増の62万分と急増している。また,従来,国際テルビジョン伝送サービスの利用は電波法上の免許を受けた放送事業者に限定されていたが,62年12月から利用者の資格が特に制限されていない一般用サービスの開始により,今後一層の利用が見込まれる。
 (キ)国際電気通信料金の値下げ
 国際電気通信料金については,54年以降9次にわたる値下げが行われた。63年度においても9月に国際電話サービス,国際ファクシミリ通信サービス及び国際テレビジョン長期サービスの通信料金の値下げが行われた。値下げ率は平均21.1%であり,3サービス合わせた値下げ総額は482億円(63年度通年ベース)と,過去最大の値下げ規模となった(第1-2-30表参照)。サービス別の値下げ率は国際電話21.1%,国際ファクシミリ通信14.7%及び国際テレビジョン長期13.6%であった。
 今回の値下げは,為替相場の変動による日本発信料金の割高感の解消・縮小を図るとともに,国際通信サービスを安い料金で提供することを目的としている。

第1-2-25図 国際電話取扱数の推移

第1-2-26表 加入電話普及率と国際電話取扱数

第1-2-27図 国際専用回線数の推移

第1-2-28表 新国際第一種電気通信事業者の提供サービスと料金

第1-2-29図 国際テレックス取扱数及び国際電報通数の推移

第1-2-30表 昭和54年10月以降における国際電気通信料金の値下げ状況

 

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