平成元年版 通信白書

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第1章 昭和63年通信の現況

5 放送政策の新たな展開

 (1)新しいテレビジョン方式の普及に向けて

 ア ハイビジョンの推進
 ハイビジョンは従来のテレビに比べ,テレビ画面の縦横比を3:4から9:16に,走査線数を525本から1,125本に,音声をアナログ方式からディジタル方式にすることにより,広い画面で鮮明な映像と高品質な音声が得られるテレビジョン方式である(第1-4-6表参照)。
 ハイビジョン放送は,平成2年打上げ予定のBS-3により実用化される予定であり,平成3年打上げ予定のBS-3bでは,ハイビジョン専用のチャンネルとして1チャンネルを確保する予定である。ハイビジョンの普及に向けて,次のような取組みが進められている。
(ハイビジョン・シティ構想の推進)
 ハイビジョン・シティ構想は,21世紀に向けて,都市の生活空間に高度映像メディアを先行的に導入することにより,地域の特性を活かしながら,活気と潤いに溢れた先端都市を構築するものである。
 郵政省では,本構想を推進するため,63年2月より.「高度映像都市(ハイビジョン・シティ)構想懇談会」を開催し,ハイビジョン・シティ構想の理念,ハイビジョン・シティのイメージ,モデル都市の選定方法及びその在り方,構想の推進方策,基盤整備のための課題等について検討を行った。
 そして,この検討を受け,ハイビジョンの全国的な普及の整備を行うための拠点として,平成元年3月,全国13の地域をモデル都市として指定した(第1-4-7表参照)。これらの都市においては,平成元年度以降,無利子融資や財政投融資及び税制面での優遇措置を通じ,ハイビジジョンの導入が進められる予定である。
(ハイビジョン放送の実験放送の実施)
 郵政省では,ハイビジョン・シティ構想によりその普及推進策を進めるとともに,テレコム旬間や「ハイビジョンウィーク」(11月25日を含む1週間)にハイビジョン放送のデモンストレーションを行うことにより,国民のハイビジョンに対する理解の促進を図っている。
 63年9月から10月には,郵政省,放送事業者,メーカー等からなる「ハイビジョン推進協議会」が中心となって,全国81の会場に208台のハイビジョン受像機を設置し,ソウルオリンピックの模様を中継した。期間中,372万人がハイビジョンを視聴し,ハイビジョンに対する理解の促進に効果をあげた。
 イ クリアビジョン(EDTV)放送の開始
 クリアビジョンは,現行テレビジョン方式の放送局側及びテレビジョン受信機側の双方で改良を加えることにより,画質の改善を図る新しいテレビジョン方式である。
 クリアビジョンは,62年9月から電気通信技術審議会において検討が行われており,その開発は,第一世代及び第二世代の段階に分けて進められている。平成元年3月に,ゴースト除去及び画質改善技術を組み合わせる方式を第一世代として,同審議会から一部答申された。この第一世代については,平成元年秋頃に放送が開始される予定である。
 第二世代については海外の動向を踏まえつつ,画面のワイド化や音声の高音質化,一層の高画質化等を検討する予定である。
 また,郵政省ではクリアビジョンの導入を円滑に進めるため,63年12月から放送事業者,メーカー等らの構成による「クリアビジョン普及促進協議会」を開催し,クリアビジョンの普及促進活動,需要動向の調査等の活動を進めている。

第1-4-6表 ハイビジョンとクリアビジョンの比較

第1-4-7表 ハイビジョン・シティのモデル都市

現行のテレビジョン方式

ハイビジョン

現行のテレビジョン方式

クリアビジョン(第一世代)

 

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