平成元年版 通信白書

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第1章 昭和63年通信の現況

7 技術開発の推進

 (1)高度情報通信の推進

(ISDNの推進)
 ISDNの推進を図るためには,ネットワーク間,ネットワークと端末間,端末相互間の通信の相互接続性が確保されていることが重要である。この相互接続性の確保のためには共通の基準である標準が重要であり,国際的にもCCITT等による標準化が積極的に推進されている。標準化の推進に関しては,63年4月に,電気通信技術審議会から,「通信方式の標準化に関する長期構想」が答申され,相互通信の必要性が指摘されるとともに,「ISDN端末開発協議会」によるISDNサービス開発指針においても,円滑な相互通信の実現が課題としてあげられている。
 このような状況の中で,郵政省では,通信方式の開発,標準化の推進とその普及等の施策を総合的かつ積極的に推進するため,「OSI/ISDN推進連絡会」を開催し,今後の発展が予想される通信方式,特にISDNを想定したOSI(開放型システム間相互接続)に基づく通信にかかわるアプリケーションの具体的な開発の推進などの情報通信分野における総合的な標準化の推進に向けて,検討を行っている。
 また,ISDNの標準は,CCITT勧告に基づき,(社)電信電話技術委員会(TTC)を中心として国内標準が定められているが,これらの標準に準拠して開発された通信システム・端末間の相互接続性を確認する場がないことから,そのような場が求め5れている。郵政省では,通信端末の開発や通信システムの接続性の確認等を推進し,高度な通信システムの円滑な普及を促進するため,「高度通信システム相互接続推進(HATS)会議」において,相互接続のための検討を進めている。
(通信のインテリジェント化)
 電気通信の今後の発展方向としては,ISDN,広帯域ISDNに代表されるように,統一的なインタフェースの提供や,伝送容量の広帯域化が進められるとともに,ネットワークに様々な機能を持たせサービスの高度化を図る通信のインテリジェント化が進むものと考えられる(第1-4-10図参照)。
 NTTが提供している地域指定着信課金機能(いわゆるフリーダイヤル)のサービスは,「0120+6桁の数字」から着信者の電話番号を識別して接続する機能を有しており,一種の通信のインテリジェント化を示すものである。この原理を応用するととにより,従来の電話番号だけでなく,キーワード等のあいまい情報からでも希望の通信相手に接続できるなどの「あいまいアクセス機能」が実現できる。また,通信場所に関するあいまいアクセスの一つの手段となる,どこにいても同じ番号で発着信が可能となる個人番号サービス機能,蓄積・メディア変換機能,音声認識や音声合成技術等を用いた自然言語処理機能等の通信のインテリジェント化も考えられる。
 通信のインテリジェント化は,より人間の思考イメージに合致した通信形態を実現し,人間と調和した通信を可能とすることにより,利用者の利便性の向上を目指すものである。
 このような通信のインテリジェント化を図る一つの手段として,人工知能の導入があり,郵政省では,「電気通信への人工知能技術の導入に関する調査研究会」を開催し,将来の電気通信サービスの具体的内容や機能等を明らかにした上で,人工知能の導入方策について検討することとしている。

第1-4-10図 総合知的通信網の概念図

 

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