平成元年版 通信白書

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第1章 昭和63年通信の現況

8 宇宙通信に関する主な動き

 (1)移動体衛星通信の動向

(インマルサット衛星を利用した航空衛星通信実験)
 インマルサット衛星を利用した移動体通信実験は,太平洋上のインマルサット衛星を介して,航空機と地上を電話回線で結び,電話及びファクシミリ通信を行うものである。
 この航空衛星通信実験は,国際線旅客機における世界初の実験として62年10月から開始されており,成田と米国西海岸等との間の定期旅客航空路において合計12往復実施され,通話及びファクシミリ通信が良好に行われることが確認された。
 今後,航空衛星通信システムの導入に向けて,更に詳細な実験を実施することとしている。
(技術試験衛星V型を利用した総合的な移動体衛星通信実験)
 郵政省では,62年8月に打ち上げられた技術試験衛星V型(ETS-V)を利用して,小型船舶,航空機,自動車等を対象とした総合的な移動体衛星通信実験を行い,移動体衛星通信システムに必要な技術基盤の確立を図っている。
 今後,移動体衛星通信システムの普及促進を図る上で,その利用に当たっての具体的な技術・ノウハウの蓄積,効果的なシステムの在り方等の検討が必要であることから,移動体衛星通信の利用,開発等に関心の高い民間企業等にも衛星利用の機会を提供することを目的に,「ETS-V利用実験計画」を推進している。
 また,技術試験衛星V型の2つのアンテナビームのうち南ビームはオーストラリアの大半をカバーしており,63年11月に,郵政省はオーストラリア運輸通信省との間で共同実験プロジェクトを行うことに合意し,取決めを結んだ。
 この実験は,「科学技術における研究開発のための協力に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」に基づき,関係省庁の支援を受け実施されるものであり,移動体衛星通信の調和ある発展等を目的として,オーストラリア内における電波伝搬特性等の実験を共同で行うものである。
(移動体衛星通信システムの技術的条件)
 移動体衛星通信システムの技術的条件については,63年7月に,電気通信技術審議会から「移動体衛星通信システムに必要な技術的条件」の答申が行われた。
 この答申は,実用移動体衛星通信システムのサービス形態及びその需要並びにサービスを提供するために必要な衛星搭載機器及び地球局に関する技術的条件を中心に取りまとめられたものであり,実用移動体衛星通信システムの計画の推進の必要性,技術試験衛星V型等を利用した移動体衛星通信システムの試験的な利用の必要性等が提言されている。

技術試験衛星<5>型(ETS-<5>)

 

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