平成元年版 通信白書

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第2章 重層情報社会の形成と通信

(2)世界規模の情報通信基盤の進展

 世界規模の情報圏を支える情報通信基盤についても,その情報圏の充実に伴い,全国規模の情報通信基盤同様に,より大量の情報を,より早く伝達するための世界規模のネットワークの形成が要請された。このことから,多様なネットワークが世界規模の情報通信基盤として形成されてきた。
 ここでは世界規模の情報通信基盤のうち,国際郵便と国際電気通信についてその形成過程を概観する。
 ア 国際郵便
 我が国の国際郵便は,米国,英国及びフランスが本国との通信のために開設していた外国郵便局を利用して,明治5年に開始され,我が国においてはじめての世界規模の郵便ネットワークが形成された。
 その後,航空郵便の開始やジェット機の導入,船便についてもコンテナ船による郵便輸送の開始等,輸送時間の短縮を図ってきた。
 近年では,郵便ネットワークの枠を超えた電気通信ネットワークの利用等,さらに情報通信基盤としてのネットワークの充実を図っている。
 イ 国際電気通信
 明治初期から昭和40年代の後半まで,我が国の国際電気通信の中心は国際電報であった。我が国の国際化の進展に合わせて着実にその取扱数を伸ばし,情報通信基盤としての役割を果たしてきた。しかし,44年度を境に減少に転じ,現在までその減少傾向が続いている(第2-1-4図参照)。
 日本経済の高度成長に伴う企業活動の国際化を反映して,それまでの電報に代わり,より大量でより迅速な伝達が可能である国際テレックスへと国際電気通信の中心は移行していった。国際テレックスの取扱数は,50年代においては年平均15.1%の増加を示していた。しかし,60年代に入るとともに国際テレックスの需要は減少に転じ,年々減少傾向を強めている。
 国際電話の取扱数は,56年度以降増加傾向が強まり,国際テレックスが需要を低下させた60年代は年平均39.0%増と急増し,50年代半ば以降から国際テレックスに代わり我が国の国際電気通信における中心的な情報通信基盤となった。これは,55年に国際電話回線を利用したファクシミリ及びデータ伝送の取扱いが開始されたことにより,これまでの国際電報,国際テレックスによって送られていたものが,簡便,迅速,大量に伝達できるようになり,国際電報,国際テレックスの需要が国際電話に急速に移行したことが需要の増加に大きく影響していると考えられる。
 また,40年代後半までは,すべての通話はオペレータが直接外国側を呼び出す半自動運用により接続されていたが,48年3月に国際ダイヤル通話が開始され,オペレータを経由することなく直接外国をダイヤルし呼び出すことが可能となった。国際ダイヤル通話が開始された当初,我が国から直接ダイヤルすることが可能であったのは米国,西独等14地域であったが,63年末現在177地域に達している。
 このように国際電話は,現在,国際郵便と並び我が国の世界規模の情報通信基盤としての中心的な役割を果たしている。さらに,近年の国際通信に対するニーズの多様化にこたえ,国際間ISDNの導入などそのネットワークを多様化・高度化させている。

第2-1-4図 国際電気通信の推移

 

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