平成元年版 通信白書

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第2章 重層情報社会の形成と通信

(2)テレトピア指定地域における地域情報圏の形成

 次に,テレトピア指定地域におけるこのような地域情報圏の現状を具体的にみることにする。テレトピア構想は,地域振興における通信の重要性を踏まえ,モデル都市に様々なニューメディアを導入し,全国普及の拠点とするとともに,地域社会の振興に資する施策として,58年8月に郵政省が提唱したものであり,本構想を推進し地域の情報通信基盤を整備することにより,地域情報圏の進展が図られている。
 (テレトピア指定地域と地域情報圏)
 テレトピアのモデル地域の指定は,60年3月に第1次指定地域として20地域が指定された。その後順次指定地域が追加され,現在70地域が指定されている(第2-2-2図参照)。例えば,諏訪地域広域市町村圏は,岡谷市,諏訪市,茅野市,下諏訪町,富士見町及び原村の3市2町1村により構成されており,政治,経済,社会のいずれの分野においても,また,歴史的にみても,圏域の一体性は強く,一つの地域情報圏を形成している。同広域市町村圏では,共同利用型コンピュータシステムによるデータ通信網やCATV網を基盤とした情報圏を形成している。データ通信網は,地域住民の記録や印鑑登録の手続き等20項目にわたる行政事務のオンラインサービスに利用されている。また,CATV網は,水道の自動検針や水源池の集中監視にも活用されている。諏訪地域広域市町村圏に対するテレトピアの地域指定は,ニューメディアの導入による圏域のネットワーク化を図ることにより,この地域情報圏の一層の発展を目指すものである。このように,テレトピア指定地域においては,各地域内の交流等を通して一つの地域情報圏が形成されており,ニューメディア等の情報通信基盤の導入は,地域の発展を図る一つの手段として期待されている。
 (地域情報圏の発展)
 テレトピア指定地域においては,ニューメディアを中心に活発なシステム構築が行われつつあるが,最近,指定地域のエリアの拡大の動きがみられる。北海道の十勝地域は帯広市を中心に発展してきており,1市16町3村で十勝広域市町村圏を構成し,生活面,経済面で密接に結び付いている地域となっている。テレトピア指定地域としては,帯広市が指定されていたが,既に運用されている農業情報システムは,サービス提供地域が帯広市のみならず十勝全域にわたっており,63年11月に,テレトピア指定地域が十勝広域市町村圏に拡大された。このように,十勝地域では,帯広市を情報拠点とした地域の情報通信基盤の整備に伴い,圏域が拡大するとともに,地域情報圏の発展が図られた一例といえる。また,今後,情報通信システムを利用した地域内の情報交流の一層の活発化が期待されている。一方,横浜市においても,当初,みなとみらい21事業区域及び周辺港湾地域がテレトピア指定地域として指定されたが,62年12月に,新本牧地区にまで拡大された。大阪市においても,テレトピア指定区域が南港・北港地区から周辺産業集積地区更には大阪市全域にまで拡大されており,各地域において,地域情報圏の進展に伴う周辺地域への圏域の拡大傾向がみられる。

第2-2-2図 テレトピア指定地域(63年度末現在)

 

 

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