平成2年版 通信白書

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第1章 平成元年通信の現況

(6)地域情報圏の形成

 地域における広域情報圏の形成とその進展を図るために必要な拠点となる地域の中核都市における情報通信基盤の整備の必要性については元年通信白書(第2章)で述べたが、地域相互間の加入電話の通話状況から、広域情報圏の現状について分析する。
 昭和63年度の加入電話発信回数をみると、全通話量678億回中県内通話が481億回と7割余りを占めており、県外向け通話は197億回と3割に満たないことが分かる。
 全国の47都道府県について県外向け通話の通話先の上位3県をみると、東京が36県、大阪が20県と群を抜いている。続いて福岡の8県、埼玉、神奈川の7県、宮城、愛知の5県、京都、兵庫、広島の4県、千葉、香川、熊本の3県の順となっている。
 試みに東京、大阪、宮城、愛知、広島、香川、福岡の各県について、これらの各県を通話先とする都道府県の分布を地図上に示したのが第1-3-42図である。
 例えば、東京が通話先として上位3位以内となっている都道府県の分布を示した図が右上の図である。この場合に、東京を県外通話の主な相手とする各県は、電話というメディアに関しては、東京を中枢とする一定の広範な情報圏を形成していると考えられるから、この図は東京の情報圏の広がりを表現している。
 東京の情報圏の広さは一目瞭然で、北海道から沖縄までほぼ全国に渡っている。特に関東地方では神奈川、埼玉、千葉の三県の東京向け通話量が群を抜いて大きく、全国の東京向け通話の実に6割近くを占めており、東京を中心とする関東4県は密度の高い情報圏を形作っている。
 大阪の情報圏は近畿地方はもとより中部地方から中国地方のほぼ全域、瀬戸内海を渡って四国地方の全域及び沖縄、北海道をも範囲としており、大阪が関西以西での重要な情報拠点となっている現状が分かる。北海道は近隣の宮城の情報圏ではなく、東京、大阪の情報圏に直接に接続しているのが特徴的である。
 宮城の情報圏は東北地方の5県に広がっている。愛知の情報圏は中部地方の主たる地域と近畿の一部を含むが日本海側には及んでいない。香川の情報圏は四国地方全域、広島の情報圏は中国地方全域を占めている。福岡の情報圏は沖縄を含む九州地方全域及び山口に及んでいる。九州地方に限っていうと県外向け通話量のうち福岡向けの通話が全体の4割を占めている。
 以上のように加入電話の通話実態から見ると、東京は全国的な情報圏を形成しており、大阪は北海道と九州を除いた西日本を情報圏としている。また、その他の宮城、愛知、広島、香川、福岡は比較的近隣の数県からなる情報圏を形作っており、その広がりは従来の地方ブロックである東北、中部、中国、四国、九州とほぼ重なっているが、福岡の山口や愛知の長野のようにブロックを超えた情報圏もみられる。

第1-3-41図 各情報量と県内総生産の地域格差の比較

第1-3-42図 地域の情報中枢県と情報圏

 

 

(5)情報量と県内総生産の地域間格差の比較 に戻る 第1章第3節5 国際情報流通の動向 に進む