平成2年版 通信白書

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第2章 国際交流の進展と情報通信


 今日、我が国は、世界のGNPの1割を超え、世界最大の債権国になるなど国際社会に対する経済的影響力を増大させている。
 一方、国際経済の相互依存関係は急速に進展し、各国の経済運営においても世界経済の発展との調和が求められるようになっている。
 元年度においても、我が国をとりまく国際社会において政治、経済分野での新たな動きが生じている。ヨーロツパにおいては、昨年秋以来、東欧諸国の民主化の動きが生じ、市場経済の導入による経済発展が図られようとしている。ソヴィエト連邦では、大統領制の導入によりペレストロイカの一層の推進が図られる一方、民族独立運動が激化している。アジア・太平洋地域においては、昨年6月中国で天安門事件が発生し、世界を驚かせた。経済分野では、主として先進自由主義国との間の貿易収支の不均衡の是正が求められ、特に、日米間で我が国の経済構造そのものが問題として取り上げられるに至った。このような新しい動きへの我が国の適切な対応が課題となっている。
 情報通信分野においても、貿易収支の対外不均衡を背景とした市場開放要求の高まりとともに、自動車電話問題、衛星調達問題等が取り上げられ、また、アジア・太平洋地域に対する国際協力の一層の促進が求められている。
 このような状況のもとで、あらゆる分野、あらゆるレベルでの国際交流の進展を図ることにより、各国間の相互理解と信頼関係を増進させ、国際社会での協調と発展に役立たせていくことが重要となってきている。とりわけ情報の国際交流を進展させることは、各国間の相互理解を促進し、信頼関係を構築する。そればかりではなく、情報の国際交流の進展は、ヒト、モノ、カネの交流の進展を支える役割を果たす。
 このような情報の円滑な交流を可能にしているのが世界的な情報通信基盤の進展である。例えば、国際金融市場を支えているのは、東京、ニューヨーク、ロンドンのいわゆる世界3大金融都市を結び、24時間金融情報を送り続ける専用線ネットワークであり、また、東欧諸国の変革に西側のマスメディアの影響が大きかったことは記憶に新しい。
 このように、国際交流の進展を支える、基盤としての情報通信の役割はますます重くなってきている。
 本章では、第1節において、我が国を中心とするヒト、モノ、カネ、情報の国際交流の現状と国際交流を支える情報通信基盤の果たす役割を概観し、第2節において、情報通信分野における我が国の対応を概観する。第3節においては、第1節と第2節を受け、国際交流の促進に向けて、情報通信分野における課題と我が国が果たすべき役割について記述する。

 

 

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