平成2年版 通信白書

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第2章 国際交流の進展と情報通信

(2)相互依存関係の進展

 我が国を中心としたヒト、モノ、カネ、情報の交流について、我が国 における国内生産量(交流量)に対する国際交流量の比率をみたのが第 2-1-7図〜10図である。
 総人口に対する出入国者数の比率を昭和43年を100とすると昭和63年 は1,125へ、GNPに対する輸出入金額の比率については昭和43年の100 に対して昭和63年の269へ、資本調達に対する長期資本収支の比率は昭和 43年の100に対して昭和63年の1,204へ、国内発信情報量に対する国際交 流情報量の比率は昭和53年度の100に対して昭和63年度の159へとそれぞ れ順調に増加している。
 このように、この20年間における我が国を中心としたヒト、モノ、カ ネ、情報の交流量が増加するとともに、ヒト、モノ、カネ及び情報の世 界に対する依存関係はより深まってきている。
 次に、ヒト、モノ、カネ、情報について、世界各地域別にその交流量 の動向を把握する。
 (ヒトの地域別交流)
 ヒトの地域別の交流量の割合の推移を表したのが第2-1-11図である。
 20年前においては、出入国者の40.1%を北米が占めていた。しかし、 10年前に、出入国者の49.9%をアジアが占めるに至り、北米は3割強に 減少し、ヨーロッパも減少している。この傾向は現在においても続いて おり、アジア49.3%、北米33.2%、ヨーロッパ11.5%の順となっている。 このように、20年前に比べてヒトにおける我が国とアジアとの相互依存 関係の進展がうかがえる。
 (モノの地域別交流)
 モノの地域別の交流量の割合の推移を表したのが第2-1-12図である。
 20年前から現在に至るまで、アジア及び北米がそれぞれ3割強で推移しており、輸出入金額全体の約7割をこの2地域で占めている。これに 対してヨーロツパの占める割合はこの20年間に14.5%から昭和63年には 18.6%へと伸びている。
 (カネの地域別交流)
 カネの地域別の交流量の割合の推移を表したのが第2-1-13図である。
 昭和55年の外国為替及び外国貿易管理法の改正前は、地域別の割合をみると特に北米及びヨーロッパが突出していたわけではない。しかし、 外為法の改正を契機として、北米及びヨーロッパの割合が急激に増え、 今や北米及びヨーロッパで全体の約8割を占めている。
 (情報の地域別交流)
 情報の地域別の交流量の割合の推移を表したのが第2-1-14図である。
 この20年間、北米、アジアが国際交流情報量全体の約7割を占めている。しかしその内訳をみると、20年前は北米4割、アジア3割であった のが、現在は北米3割、アジア4割と逆転している。ヨーロッパは20年 間ほとんど変化がない。
 以上みたように、国際交流の進展を背景に我が国は、ヒト、モノ、カ ネ、情報のすべてについて相互依存関係を進展させている。
 昭和43年から昭和63年の20年間の地域別の推移をみると、
[1] 20年前においては国際交流の中心は北米であったが、この20年の間に我が国は北米に加え、アジアとはヒト、情報を中心に、ヨーロッパとはモノ、カネを中心に相互依存関係を進展させている。
[2] 我が国と北米、ヨーロッパとの交流量の割合は、モノ、カネを中心に増大しており、主として経済的に相互依存関係を強めてきているが、北米についてはヒト、情報の交流の割合はそれほど伸びておらず、ヨーロッパについては、情報の交流の割合は変わらず、ヒトの交流の割合はむしろ減少している。
[3] アジアとはモノの交流に比べ、ヒト、情報を中心に相互依存関係を進展させている。
という特徴がある。

第2-1-7図 総人口に対する出入国者数の比率の伸び

第2-1-8図 GNPに対する輸出入金額の比率の伸び

第2-1-9図 資本調達に対する長期資本収支の比率の伸び

第2-1-10図 国内発信情報量に対する国際交流情報量の伸び

第2-1-11図 出入国者数の地域別推移

第2-1-12図 輸出入金額の地域別推移

第2-1-13図 長期資本収支の地域別推移

第2-1-14図 国際交流情報量の地域別推移

 

 

第2章第1節1(1)我が国を中心とした交流量の変化 に戻る (3)国際交流におけるインバランスの拡大 に進む