平成2年版 通信白書

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第2章 国際交流の進展と情報通信

(1)情報通信分野における緊密な交流

 我が国と北米・ECとの間の情報通信に関連する協議は、情報通信分野における二国間定期政策協議の場で行われるほか、二国間経済協議の中でも行われている。
 ア ニ国間定期政策協議の実施
 情報通信分野における二国間定期政策協議は、情報通信の社会的・経済的重要性の増大、社会・経済の国際化の進展に伴って、情報通信政策の面でも国際的な相互依存関係が強くなっており、従来の国際機関の枠組みの中での多国間調整のみでは十分な成果が望めない問題や、二国間特有の課題が生じてきたため、実施されているものである。 二国間定期政策協議は、原則として年1回開催されており、相互の政策立案や二国間の協調・協力関係の構築・発展に大きな成果を上げているほか、国際相互理解の促進のためにも大きな役割を果たしている。
 情報通信分野における二国間定期政策協議の最初のものは、郵政省と英国産業省(現在の貿易産業省)との間で1982年に開始した日英電気通信定期協議である。その後、1984年には、日米電気通信定期協議(郵政省-米国連邦通信委員会(FCC)、商務省電気通信情報庁(NTIA)、1985年には、日加電気通信定期協議(郵政省-カナダ通信省)、1987年には、日EC電気通信定期協議(郵政省-EC委員会)がそれぞれ開始された。これまでの開催状況は、第2-2-17表のとおりである。
 また、米国の郵便公社(USPS)との間で、二国間定期郵便会議が開催されている。
 1989年度は、日英電気通信定期協議第6回会合及び日加電気通信定期協議第4回会合が開催されており、特に、日英電気通信定期協議においては、日英国際VANについて、
[1] 蓄積交換機能を用いてメッセージを伝送するファクシミリサービスをサービス範囲に追加すること
[2] 国際VAN事業者が国際ネットワーク間を接続する際に使用するプロトコルは、CCITTが勧告した国際標準方式に準拠することを基本とするが、一定の条件を満たす場合、国際標準に準拠しない独自のプロトコルの使用を認めること
の2点の改定の合意がなされ、書簡の交換が行われた。
 イ ニ国間経済協議の中での協議
 情報通信産業が社会・経済に及ぼす影響が高まるにつれて、国際経済問題として情報通信が取り上げられる機会が増えてきている。
 (ア) 日米間
 情報通信分野の問題が、国際経済問題として初めて取り上げられたのは、日米間の通信貿易のインバランスを背景に1985年から1年間にわたって行われた日米MOSS(市場指向・分野選択型)協議であった。これ以後、郵政省では、様々な協議の場を通じて日米両国の政策協調を図り、相互理解を深めるよう努めている。
 1989年から1990年にかけては、4回にわたる日米構造問題協議、第1・2回日米次官級経済協議、第15回日米貿易委員会等が開催され、率直な話合いが行われた。
 日米構造問題協議においては、第1回協議の中で、電話の大口割引制度及び郵便の商業的利用に対する割引料金がないことが、通信販売の障害になっているとの指摘があったが、1990年4月に取りまとめられた日本側中間報告においては、NTTにおいてフリーダイヤルの大口割引きについて、1990年6月までに実施することを目途に計画中であること、また、郵便については、1987年10月から広告郵便物制度、1989年9月からカタログ小包郵便物制度をそれぞれ導入し、割安な料金を設定していることが盛り込まれた。
 日米経済関係に係る主要会合の概要については、第2-2-18表のとおりである。
 (イ)日EC関係
 世界全体の情報通信の健全な発展のためには、日EC間の緊密な協力関係が重要であるので、郵政省は、日ECハイレベル協議等を通じて協調の推進を図っている。日ECハイレベル協議は、1973年から日本とEC委員会の間で実施されており、主として日EC間の通商問題を扱うための政府間会合であり、ほぼ年に1回、東京とベルギーのブラッセルで交互に開催されている。近年、電気通信、HDTVが議題としてEC側から常に提案されている状況にある。
 最近の日ECハイレベル協議は、1989年11月に、ブラッセルにおいて開催され、EC統一市場の対外関係、基準認証問題、HDT<5>規格の標準化等について意見交換が行われた。

第2-2-16表 北米・ECにおける主なニューメディアの動向(1)

第2-2-16表 北米・ECにおける主なニューメディアの動向(2)

第2-2-17表 二国間定期政策協議の実施状況(1)

第2-2-17表 二国間定期政策協議の実施状況(2)

第2-2-18表 日米経済関係に係る主要会合の概要

 

 

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