平成2年版 通信白書

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第2章 国際交流の進展と情報通信

(2)情報通信基盤の発展に向けた協調

 21世紀に向けて、情報の交流の重要性が増していくと予想され、それを支える情報通信基盤の発展を図るためにも先進諸国間で競いあいながら、ISDN、HDTV等の新しいメディア、ネットワークの開発、導入を積極的に図っていく必要がある。
 そのためには、技術に関する国際交流を促進させることによりレベルを向上させ、開発を推進するとともに、各国の情報通信政策の相互理解を深め政策協調を図ることにより、通信料金の低廉化や情報交流の活発化を可能とするISDNやHDTV等の21世紀の高度な世界的な情報通信基盤を確立することが、世界的な情報通信の発展を図っていく上で重要である。最後に、東欧諸国に対しては、国民の真のニーズを見極め、長期的な国際協力を行うことにより相互の信頼関係を築いていくことが重要である。
 以上、我が国の国際交流の進展のための情報通信分野における我が国の対応と課題について述べたが、国際交流は、今後、東西関係の緊張緩和、世界経済の一層の発展を背景にさらに進展し、世界は、相互依存関係を一層深めていくと考えられる。一方、現在、日米間で生じている国際経済問題に見られるような、インバランスに起因する問題が再び世界のどこかで発生する可能性もないとはいえない。
 このような中で、今、我が国に求められているのは、諸外国との真の相互理解と信頼関係を早急に構築することである。そのためには、まず、我が国は、常に世界の中の日本という立場を十分認識した上で、種々の問題に対して、我が国の主張を明確にし、辛抱強く話し合っていくことが重要である。
 次に重要なことは、我が国の情報の受発信力を高め、北米、ヨーロッパ諸国に対する情報発信を強化するとともに、アジア等開発途上国からの情報の受入れに努めることである。
 我が国は、北米、ヨーロッパ諸国に対しては、我が国の文化、習慣、ものの考え方等をもっと知ってもらうため、情報発信を強化していかなければならない。一方、アジア等開発途上国については、我が国はもっとその国の文化、習慣等に関心を持ち、知ることに努める必要がある。そして、このような相互理解と信頼関係の構築に向けた国際間の情報交流の活発化のためには、情報通信基盤の整備発展が重要であるとともに、電話・放送などを活用した交流が有効である。特に映像による交流は、見る人に与えるインパクトが大きいだけに、重要な役割を果たすことが期待されることから、放送番組の国際交流の推進や映像による国際放送の実施の検討など積極的に進めていくことが必要である。
 今日、国際社会において経済的影響力を増大させている我が国にとって、諸外国との相互理解と信頼関係に基づく国際交流を進展させていくことが基本的課題となっている。そのためには情報通信分野において我が国は、映像メディアなど多様なメディアの活用により相互理解と信頼関係の実現を図るとともに、広く全世界の情報通信基盤の発展にいかに貢献していくかが問われている。

 

 

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