平成3年版 通信白書

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第1章 平成2年情報通信の現況

2 国内通信サービスの動向

 (1)国内電気通信サービスの動向

 2年の国内電気通信分野においては、長距離系新第一種電気通信事業者によるサービス提供地域の拡大や、無線呼出しサービスにおける新事業者の参入が相次いだ。また、それに伴い各分野で通信料金の値下げが行われ、契約数も増加した。
 電話サービスにおいては、長距離糸新第一種電気通信事業者3社のサービス提供地域が45都道府県に拡大し、ID登録実数(注)は532万回線、NTTの加入電話契約数の約1割となった。
 移動通信サービスの分野においては、無線呼出しサービ久は6社の参入により新事業者は全国で36社となり、全国で新事業者及びNTTのサービスの利用が可能となった。これによりNTTも含めた総契約数は、一年間で約20%増となるなど、順調に推移している。自動車・携帯電話サービスについても、新事業者の相次ぐサービス提供開始や小型で軽量な電話機の導入等により、NTTも含めた総契約数が一年間で約2倍となるなど市場は急速に拡大している。
 また、衛星通信サービスの分野では、民間通信衛星によるサービス開始から2年目を迎え、利用は順調であったが、12月にスーパーバードAが故障したことにより、衛星通信サービスの信頼性の向上の必要性が再認識された。
 放送分野については、放送衛星3号-a(BS-3a)を利用した我が国初の民間放送事業者によるサービスの開始、衛星放送受信世帯数の増加、都市型CATV施設数の増加など、新しい動きが着実に進展しつつある。
 ア 電話サービス
(ア)契約数及びサービス提供地域
(NTTの動向)
 NTTの加入電話等契約数は、2年9月末現在5,366万契約であり、対前年同期比で4.1%増となっている(第1-1-4図参照)。
 また、昭和55年度から元年度までの10年間の年平均伸び率は、3.4%であるが、昭和62年度以降の3年間の年平均伸び率は、3.9%となっており、特に、元年度の伸び率は10年間で最高の4.1%となっている。
 加入電話等のサービスのうち一般加入電話契約について、事務用と住宅用に分けてみると、2年9月末現在、事務用1,675万契約(対前年同期比5.0%増)に対し、住宅用3,650万契約(同3.8%増)となっており、昭和61年度以降事務用の伸び率が住宅用の伸び率を上回っている。事務用加入電話契約数の伸びの要因として、ファクシミリの普及に伴う加入電話の新設等が考えられる。また、「事業所統計」(総務庁)による昭和56年7月及び昭和61年7月の事業所数を用いて、昭和56年度末及び昭和61年度末の事務用加入電話契約数から1事業所当たりの契約数を計算すると、1.93契約から2.12契約へ5年間で0.19契約上昇している。同様に「住民基本台帳に基づく全国人口・世帯数表」(自治省)による昭和56年度末及び昭和61年度末の世帯数を用いて、同時期の住宅用加入電話契約数から1世帯当たりの契約数を計算すると、0.74契約から0.81契約へ5年間で0.07契約上昇している。
 都道府県別の一般加入電話契約数をみると、元年度末現在、東京都が最も多く722万契約であり、大阪府463万契約、神奈川県350万契約、愛知県272万契約の順になっている(第1-1-5図参照)。
(新事業者の動向)
 第二電電(株)、日本テレコム(株)及び日本高速通信(株)の長距離系新第一種電気通信事業者3社のうち1社以上が全域または一部で市外電話サービスを提供している地域は、2年度中に東北、四国及び九州の一部の県、北陸3県及び北海道の14道県が加わり、2年度末現在45都道府県へと拡大している(第1-1-6図参照)。
 また、3社のPOI(注)も、3社合計で元年度末の86個から、2年度末には138個に拡大している。
 これに伴って、3社の市外電話サービス契約数は増加しており、2年9月末現在の契約数(3社単純集計)は、対前年同期比41.9%増の877万契約となっている。また、重複を除いたID登録実数は532万回線(前年同期は324万回線)であり、これはNTTの加入電話契約数の9.9%(同6.3%)である。
 また、地域系新第一種電気通信事業者のうち、唯一加入電話サービスを提供している東京通信ネットワーク(株)(電話サービス開始は昭和63年5月)のサービス提供地域は、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨及び静岡の9都県の一部の地域である。その加入電話契約数は、2年9月末現在、3,207契約である。
(イ)トラヒック状況
(距離段階別通話回数及び通話時間)
 元年度におけるダイヤル総通話回数及びダイヤル総通話時間(NTT、第二電電(株)、日本テレコム(株)、日本高速通信(株)及び東京通信ネットワーク(株)の5社合計)は、対前年度比7.2%増の732億回及び同7.7%増の33億2,299万時間、1回当たりの平均通話時間は2分43秒であった(第1-1-7図参照)。
 加入電話契約数の元年度における伸び率が4.3%であったことと比較すると、トラヒックの伸び率が大きく、1加入電話当たりの通信の利用が進展していることがうかがわれる。
 トラヒックの内訳についてみると、NTTは718億回及び32億6,461万時間であり、新第一種電気通信事業者(4社の合計)は14億回及び5,844万時間となっている。
 また、通話回数及び通話時間を距離段階別にみると、3分間10円の区域内通話が495億回及び20億894万時間となっており、全体に占める割合は通話回数比で67.6%、通話時間比で60.5%といずれも6割を超えている。また、市外通話を100km以内のものと100kmを超えるものとに分けてみると、NTTについては、100km以内のものの占める割合が大きく、通話回数、通話時間ともに7割を超えているのに対して、新第一種電気通信事業者(4社の合計)については、市外通話のうちでも100kmを超える長距離通話の占める割合が大きく、通話回数、通話時間のいずれも6割を超えている。
(通話時間別通話回数)
 元年度の通話回数を通話時間別にみると、1分以内に完了する通話が367億回で最も多く、全体の50.1%を占めており通話時間が長い通話ほど回数は少なくなっている。この傾向は、NTT、新第一種電気通信事業者ともほぼ同様である(第1-1-8図参照)。
 (時間帯別通話回数)
 元年度の通話回数を1日の時間帯別にみると、午前9時から同10時の間における通話回数が70億回で最も多く、全体の9.5%を占めている(第1-1-9図参照)。
 また、昼間(午前8時から午後7時)、夜間5(午前6時から8時、午後7時から11時)及び深夜(午後11時から翌朝6時)別の割合はそれぞれ78.2%、18.9%及び2.9%である。NTTについては、合計とほほ同じ傾向であるのに対して、新第一種電気通信事業者(4社の合計)については、午前10時から同11時の間における通話回数が1.7億回で最も多く、全体の12.2%を占めている。また、昼間の割合が91.7%と大きく、夜間及び深夜における割合がそれぞれ7.5%、0.8%と小さい。これは、事業用の利用が大きく、家庭における利用が少ないためと考えられる。NTT、新事業者ともにすべての距離段階について、夜間若しくは深夜時間帯には、割引料金を設定しているが、設備の効率的利用のためには、昼間に集中しているトラヒックを夜間、探夜に更に誘導していくことが必要であろう。
 イ ファクシミリ通信網サービス
 NTTのファクシミリ通信網サービスの契約数は、2年9月末現在40万4,980契約(対前年同期比22.3%増)であり、順調に契約数は増加している(第1-1-10図参照)。
 なお、従来は、契約者相互間でのみファクシミリ通信網を利用した送受信が可能であったが、元年2月からは一般の加入電話網に接続されたファクシミリ端末でもファクシミリ通信網からの受信力可能となったために受信のみを目的とした契約の必要がなくなっている。
 ウ 移動通信サービス
 移動通信サービスの分野では、利用形態の多様化や新事業者の参入及びサービス提供地域の拡大により、各サービスで契約薮が急増している。また、無線呼出しサービスにおける広域呼出し、携帯電話サービスにおける電話機の小型化・軽量化等、料金以外にサービス面での充実も図られている。
(ア)無線呼出しサービス
 2年9月末現在における無線呼出しサービスの総契約数(NTTと新事業者35社の合計)は468万7,000契約、対前年同期比19.7%増となっている(第1-1-11図参照)。
 無線呼出しサービスについて、昭和55年度から元年度までの10年間の年平均伸び率は16.2%となっている。特に、新事業者がサービスを開始した昭和62年度以降は、伸び率は20%前後となっている。
 新事業者の参入状況についてみると、事業者数及びサービス提供地域は、2年度末現在36社(対前年度末比6社増)及び47都道府県(同7県増)に拡大しており、全国でNTTと新事業者のサービスを選択できるようになった。
 これに伴って、新事業者の契約数は急増しており、2年9月末現在144万1,000契約、対前年同期比49.1%増となっている。一方、NTTの契約数は、2年9月末現在324万6,000契約、対前年同期比10.1%増となっており、総契約数に占める新事業者のシェアは、元年9月末の24.7%から2年9月末現在30.7%へ拡大している。無線呼出しサービスはサービス開始時における初期投資が電話及び専用サービスよりも小さく、新規参入が容易であることが、新事業者の活発な新規参入及びシェア拡大の要因として考えられる。
 また、無線呼出しサービスにおいては、料金面だけでなく、文字表示型等の高機能化に加えて、NTTによるカード型の提供、他の都府県でも使用できる広域呼出しサービスなど、サービス内容における進展もみられる。
(イ)自動車・携帯電話サービス
 2年9月末現在における自動車・携帯電話サービスの総契約数(NTTと新事業者7社の合計は67万5,528契約、対前年同期比108.9%増であった。2年9月末の契約数は、昭和55年度末の契約数の約105倍に増加しており、サービス開始から約10年間経過している元年9月末の契約数が、わずか1年間で2倍以上に増加するなど、市場は急速に拡大している(第1-1-12図参照)。
 新事業者の参入状況についてみると、事業者数及びサービス提供地域は、元年度末の4社及び21都府県から、2年度末現在8社及び33都道府県(県域の一部地域の場合を含む)に拡大している。
 これに伴って、新事業者の契約数は急増しており、2年9月末現在20万6,826契約であり、前年同期の約9.7倍となっている。契約数のうち、携帯電話サービスは約8割を占めており、増加も著しく、前年同期の約16倍となっている。一方、NTTの契約数は、2年9月末現在46万8,702契約(対前年同期比55.2%増)となっており、昭和60年度以降毎年50%台の伸び率で増加している。NTTにおいても、自動車電話サービスが対前年同期比36%増であるのに対して、携帯電話サービスの伸びは、同143%増と大きな伸びとなっている。NTTにおいては、携帯電話サービスの開始(昭和60年)が、自動車電話サービスの開始(昭和54年)よりも遅かったため、携帯電話サービスの割合は、まだ3割弱であるが、今後は、その割合が増加していくものと考えられる。
 また、総契約数に占める新事業者のシェアは、元年9月末の6.6%から2年9月末現在30.6%へ急速に拡大している。特に、携帯電話サービスについては、新事業者のシェアは、56.2%となっている。携帯電話サービスにおいて新事業者のシェアが急増した要因としては、[1]新事業者がNTTよりも低廉な料金でサービスを行っていること、[2]NTTによる携帯型電話の提供開始時期が新事業者の参入開始の約3年前でありサービスの立ち上がり時期にあまり差がないこと、[3]携帯電話機の小型化・軽量化等の技術革新により新事業者がNTTと差別化を図ったことなどが挙げられる。
 その他、小型化・軽量化された電話機が相次いで提供されるなど自動車・携帯電話サービスの分野においても、料金の面ばかりでなく、端末における進展がみられた。
(ウ)その他の移動通信サービス
 その他の移動通信サービスとしては、NTTが提供している列車公衆電話、航空機公衆電話、船舶電話等のサービスと新事業者が開始した新たなサービスがある。以下では、主なサービスの動向について述べることとする。
(船舶電話サービス)
 船舶電話サービスについては、NTTによって昭和34年からサービスが提供されており、2年9月末現在の契約数は、2万852契約である。
(マリネット電話サービス)
 マリネット電話サービスについては、昭和63年9月に東京湾マリネット(株)が、元年12月には関西マリネット(株)がそれぞれサービスを開始した。なお、3年度には瀬戸内マリネット(株)がサービスを開始する予定である。
(簡易陸上移動無線電話サービス)
 簡易陸上移動無線電話(コンビニエンス・ラジオ・フォン)サービスについては、元年11月に十勝テレホンネットワーク(株)がサービスを開始し、2年には(株)テレコム青森が8月に、釧路テレコム(株)が11月に、山口ニューメディアセンター(株)が12月に各々サービスを開始した。
(テレターミナルシステム)
 テレターミナルシステムについては、元年12月から日本シティメディア(株)が東京23区内でサービスを開始している。
 エ 専用サービス
 専用サービスには、一般専用サービス、高速デジタル専用線サービス、映像伝送サービス、テレビジョン放送中継サービス、無線専用サービス等がある。ここでは、最も需要の多い一般専用サービス及び高い伸びを示している高速デジタル専用線サービスの動向について概観する。
(ア)一般専用サービス
 一般専用サービスの総回線数(NTTと長距離系及び地域系新第一種電気通信事業者10社の合計)は、2年9月末現在86万7,490回線であり、対前年同期比10.8%増となっている。新事業者の占めるシェアについては、0.5%(前年同期は0.3%)にとどまっている(第1-1-13図参照)。
 また、回線数を品目別にみると、帯域品目では電話網相当の規格を有する3.4kHz回線及び音声伝送回線が98.5%を占めており、増加数も大きい。符号品目では簡易なデータのやりとりに適した50b/s回線が81.1%を占めており、回線数の増加が大きい。その他のものは回線数も少なく、増加数もわずかである。
 昭和55年度から元年度までの10年間の年平均伸び率は、8.1%であるが、昭和62年度以降の3年間の年平均伸び率は13.0%と大きくなっている。この要因としては、情報通信機器の技術革新、通信料金の低廉化等に支えられて、企業におけるプライベートネットワーク構築の需要、警備業等における50b/s回線を利用した簡易な遠隔制御システムの需要が高まっていることなどが挙げられる。
(イ)高速デジタル専用線サービス
 64kb/s以上の高速伝送が可能な高速デジタル専用線サービスの総回線数(NTTと長距離系及び地域系新第一種電気通信事業者10社の合計)は、2年9月末現在9,755回線であり、対前年同期比で30.0%増となっている。新事業者のシェアは23.8%と拡大している(第1-1-14図参照)。
 サービス開始の昭和59年度以降、総回線数は順調に伸びている。特に新事業者によるサービスが開始された昭和61年度以降は、企業におけるプライベートネットワークの構築のための需要、第二種電気通信事業者のサービス提供のための需要等が高まっており、総回線数が急増している。一般専用サービスよりも新事業者のシェアが拡大している要因としては、[1]回線使用料が高額であるために低廉な料金である新事業者を選択する利用者の割合が一般専用サービスよりも大きいこと、[2]NTTによるサービス開始時期が新事業者の参入開始の約2年前であり近年急速に普及しつつあること、[3]大容量回線であるために一般専用サービスと比べて需要の範囲が大企業等に限られていることなどが挙げられる。
 オ デジタルデータ伝送サービス
 NTTの提供するデジタルデータ伝送サービスには、回線交換サービス及びパケット交換サービスがある。
 回線交換サービスについては、昭和62年度以降伸び率は低下傾向にあったが、2年9月末現在の回線数は、初めて前年に比べて減少し、9,053回線(対前年同期比0.5%減)となった(第1-1-15図参照)。
 この要因としては、データの送受信において類似のサービスである専用サービス、ISDNサービス等に利用がシフトしつつあることが挙げられる。
 パケット交換サービスについては、回線数は2年9月末現在20万2,090回線(対前年同期比29.9%増)であり、サービスが開始された昭和55年度以降順調に増加している。特に、電話網を介してパケット交換網にアクセスする等2種パケット交換サービスの回線数は、2年9月末現在15万6,652回線であり、前年同期と比べて32.5%増となっている。
 カ ISDNサービス(注1)
 NTTにより昭和63年4月にサービスが開始されたISDNサービスは、2年4月から全国的に利用力可能となっている。この結果、2年度末現在1,222地域(注2)(前年度末比1,027地域増)でISDNサービスは提供されており、この地域は全国の市制施行都市の約90%に及んでいる。これに伴って、基本インタフェースによるサービス(INSネット64)の利用者数及び回線数も急増しており、2年12月末現在、4,438利用者、1万8,873回線であり、前年同期比で利用者数は約5.7倍、回線数は約4.1倍になっている(第1-1-16図参照)。
 また、テレビ会議等の高速伝送も可能な1次群インタフェースによるサービス(INSネット1500)も、元年6月にサービスが開始され、基本インタフェースのサービス提供地域の中で順次、提供されてきており、2年12月末現在、利用者数、回線数は各々123利用者(前年度末比約3.7倍)、402回線(同約3.4倍)となっている。
 ISDNサービスは、元年にはKDDの国際ISDNと接続され、2年にはISDNによるパケット交換サービスが開始されるなどのサービスの充実が進んでいる。
 キ 衛星通信サービス
 衛星通信サービスは、昭和58年に打ち上げられた通信衛星2号(CS-2)を利用して、昭和59年11月にNTTにより開始された。
 昭和63年には、CS-2の後継機として通信衛星3号(CS-3)が打ち上げられ、離島用及び市外通話のふくそう対策用の電話回線等として、現在も利用されている。
 元年には、初の民間通信衛星として日本通信衛星(株)のJCSAT-1、宇宙通信(株)のスーパーバードAが打ち上げられ、両社は衛星系新第一種電気通信事業者としてそれぞれ4月及び7月にサービスを開始した。2年1月には日本通信衛星(株)の衛星2号機としてJCSAT-2が打ち上げられ、2月にサービスを開始、した。通信衛星のトランスポンダ(電波中継器)は、CATV番組配信、企業内通信、サテライト・ニュース・ギャザリング(SNG)等に利用されている。
 衛星通信サービスは、民間通信衛星のサービス開始から2年目に入り、地球局数は2年12月末現在1,460となっている。特に、VSAT衛星通信システム(注)の増加が著しく、地球局数の71%を占めている。2年12月にはスーパーバードAが故障し、宇宙通信(株)が、衛星通信サービスを停止したため、CATV番組配信等に一時支障を来す事態が発生したが、利用者をJCSATに振替えるなどの迅速な対応のため、大きな混乱には至らなかった。しかし、信頼性向上の必要性が再認識されており、事業者間でのトランスポンダの相互利用等が検討されている。なお、2年12月末現在、国内の通信衛星用トランスポンダ数は、スーパーバードの29本が減少したことにより、88本(CS-3の24本、JCSATの64本)となっている。
 ク 電報サービス
 電報サービスの2年度上半期の通数は2,027万通であり、対前年度同期比2.7%増であった。これを一般・慶弔別にみると、一般電報は178万通、対前年度同期比1.6%減であるのに対して、慶弔電報は1,849万通、同3.1%増であった。慶弔電報の増加の要因としては、昭和60年以降にサービスが開始された「メロディ」、「押し花」等の付加価値電報の通数の伸びが挙げられる(第1-1-17図参照)。
 なお、電話の普及等に伴って電報の社会的役割が変化したことや夜間における利用実態等にかんがみ、3年3月には夜間の電報配達の廃止等が実施された。
 ケ ビデオテックス通信サービス
 キャプテンサービス(株)の提供するビデオテックス通信サービスの利用契約数は、3年1月末現在11万292契約であり、対前年同期比9.1%増となっている(第1-1-18図参照)。
 家庭用と事業用に分けてみると、家庭用は5万2,685契約(対前年同期比10.3%増)、事業用は5万7,607契約(同8.0%増)となっている。
 一方、NTTのビデオテックス通信網に接続して各種のサービスを提供するIP(情報提供者)についてみると、3年1月末現在、キャプテンサービス(株)の運営するキャプテン情報センタを利用するIPが475契約(対前年同期比49契約減)であり、自社の情報センタをビデオテックス通信網に直接接続してサービスを提供するIPは110契約(同1契約増)となっている(第1-1-19図参照)
 コ 国内電気通信料金の低廉化
 国内の電気通信料金については、技術革新や経費節減等の企業努力により費用が低下し生産性が向上していること、通信量の増大により規模の利益が発生していること等によって、昭和55年度以降NTTの電話及び専用サービスを中心とした値下げが段階的に実施されてきており、通信料金の低廉化という社会的要請にこたえてきている(第1-1-20表参照)。
 特に、電気通信事業の独占が廃止された昭和60年度以降は、長距離系、自動車電話系、無線呼出し等の新事業者の相次ぐ参入の下で、電話サービスをはじめとする多くの分野で料金値下げが実施きれてきている。昭和60年度から2年度までの6年間にNTTが実施した通話料金値下げ規模の累計は、合計4,800億円であり、2年9月末の加入電話契約1契約当たりで計算すると、この間に月額750円程度の料金の低廉化が進展したことになる。また、日本銀行調査(注)によると、企業向けサービス価格指数の総平均では、昭和60年を100とすると、元年は106.0であり、6.0ポイントの上昇であるのに対して、国内電気通信は、97.4となっており、2.6ポイント低下している(第1-1-21図参照)。
 その中でも、自動車電話、無線呼出し及び専用回線等の需要の高い、新規参入の活発なサービスで価格指数の低下幅が大きくなっている。
 2年度における各分野の料金値下げの概要は以下のとおりである。
(電話サービスの料金値下げ)
 3年3月にNTT及び長距離系新第一種電気通信事業者3社が料金の値下げを実施した(第1-1-22表参照)。
 NTTは1度数当たりの通話秒数で比較すると320kmを超える遠距離通話料金を約13%、160kmを超える中距離通話料金を約7%値下げした。これにより、160kmを超える通話は一律の料金となり、距離段階別の通話料金区分が1段階減少し、10段階となって、遠近格差が縮小した。また、近距離通話料金においても、20kmがら30kmの区間について約16%値下げした。さらに、すべての距離段階について実施していた深夜割引の時間帯(午後11時〜翌朝午前6時)を2時間延長し、午前8時までとした。
 一方、長距離系新第一種電気通信事業者3社は、同様に比較すると340kmを超える遠距離通話料金を約19%値下げした。これにより、170kmを超える通話料金は、一律の料金となり、距離段階別の通話料金区分が1段階減少して5段階となった。
 また、2年10月には、地域系新第一種電気通信事業者である東京通信ネットワーク(株)が、加入電話サービスにおいて、区域内・隣接区域内・20kmまでの通話は一定時間まで定額とする料金制度(注)を新設し、また、新たに着信用電話サービスを導入した。さらに、利用者の利便の向上を図るため、3年4月に、首都圏の1都7県及び静岡県(ただし富士川以東に限る。)のNTTの電話サービスと片端接続を実施した。
(無線呼出しサービスの料金値下げ)
 無線呼出しサービスについては、NTTが3年3月に呼出専用型サービスの月額料金を9%値下げしたほか、新事業者においても、元年度末時点でサービスを提供していた30社のうち、11社が2年度中に10%程度の値下げを実施した。この結果、NTTを含む37社の呼出専用型サービスの月額料金については、NTTを含む11社が2,000円、25社が1,900円、1社が1,800円であり、各社の料金格差は1割程度となっている。
(自動車・携帯電話サービスの料金値下げ)
 自動車・携帯電話サービスについては、3年3月にNTT及び新事業者8社が料金の値下げを実施した。
 NTTは、施設設置負担金を新規加入料と改称するとともに約37%値下げし、月額回線使用料を約13%から約34%値下げしたほか、電話サービスの料金値下げの実施に合わせて、通話料金の深夜割引の時間帯(午後11時〜翌朝午前6時)を2時間延長し、午前8時までとした。
 一方、新事業者も施設設置負担金を新規加入料と改称するとともに、約4%から約29%値下げし、月額回線使用料を約8%から約23%値下げした。これにより、NTTと新事業者である日本移動通信(株)とセルラー電話グループ7社の間の料金格差は、新規加入料については約4%、月額回線使用料については約15%程度に縮小している。
(専用サービスの料金値下げ)
 専用サービスについても、2年度中に相次いで値下げが行われた。
 NTTについては、3年3月に一般専用サービスについて約3%から約12%の値下げを行い、併せて利用休止制度を導入した。高速デジタル専用線サービスについても、約5%から約40%の値下げを行い、併せて長期割引制度を導入した。
 長距離系新第一種電気通信事業者3社については、2年5月に一般専用サービスについて平均4.6%、高速デジタル専用線サービスについても平均6.1%の値下げを行った。また、地域系新第一種電気通信事業者についても、中部テレコミュニケーション(株)が2年4月大阪メディアポート(株)が2年5月に、四国情報通信ネットワーク(株)が2年6月に、東京通信ネットワーク(株)及び九州通信ネットワーク(株)が2年7月に、平均3.8%から同8.6%の値下げを行った。

第1-1-4図 事務用・住宅用一般加入電話契約数の推移

第1-1-5図 都道府県別加入電話契約数(元年度末)

第1-1-6図 長距離系新第一種電気通信業者の電話サービス提供地域

第1-1-7図 電話サービス 距離段階別通話回数及び通話時間(元年度)

第1-1-8図 電話サービス 通話時間別通話回数(元年度)

第1-1-9図 電話サービス 時間帯別通話回数(元年度)

第1-1-10図 ファクシミリ通信網サービス契約数の推移

第1-1-11図 無線呼出し契約数の推移

第1-1-12図 自動車電話契約数の推移

第1-1-13図 一般専用サービス回線数の推移

第1-1-14図 高速デジタル専用線サービス回線数の推移

第1-1-15図 デジタルデータ伝送サービス回線数の推移

第1-1-16図 ISDNサービス提供地域数,利用者数及び契約回線数の推移

第1-1-17図 電報通数の推移

第1-1-18図 ビデオテックス通信サービス利用契約数の推移

第1-1-19図 ビデオテックス情報提供者数の推移

第1-1-20表 昭和55年度以降の主な国内電気通信料金の低廉化

第1-1-21図 企業向けサービス価格指数の推移

第1-1-22表 NTT及び新事業者の電話料金の値下げ状況(3年3月19日実施)

 

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