平成3年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第1章 平成2年情報通信の現況

(1)地域別情報流通状況

 ここでは、「地域別情報流通センサス」(注)の結果を用いて地域の情報化の現状を概観する(元年度の総発信情報量、総供給情報量、総消費情報量は付表3〜5参照)。
 ア 供給情報量
(ア)総供給情報量
 元年度の総供給情報量は第1-3-7図のとおりである。
 元年度の総供給情報量の上位3地域は昭和63年度と同じく東京、神奈川、大阪の順である。全国に占める割合は、東京14.3%(昭和63年度は14.4%)、神奈川8.9%(同8.8%)、大阪7.7%(同7.4%)であり、3都府県で全国の30.9%(同30.6%)であった。
 昭和54年度と元年度を比較すると、テレビジョン放送局の開局により岡山、香川、熊本、福島などの伸び率力大きく、供給情報量の大きい都府県の伸び率は必ずしも大きくない(第1-3-8図参照)。
 三大都市圏の全国に占める割合をみると、東京圏(東京、神奈川、埼玉及び千葉)が35.3%、大阪圏(大阪、兵庫及び京都)が14.4%、名古屋圏(愛知及び三重)が7.1%であり、三大都市圏で全国の総供給情報量の56.7%を占めている。人口の全国に占める割合は、東京圏25.6%、大阪圏13.6%、名古屋圏4.4%であり、いずれの都市圏でも、人口の割合以上に供給情報量が集中している。特に東京圏の供給情報量は、全国の3分の1以上のシェアを占めており、情報の集中が著しい。地域別供給情報量の地域間格差をジニ係数(注)の推移でみると、元年度は0.561(昭和63年度は0.559)となっており、昭和54年度から昭和58年度まで減少傾向にあったが、それ以降わずかに拡大傾向を示している(第1-3-9図参照)。
(イ)県民1人当たりの供給情報量
 元年度の県民1人当たりの供給情報量の上位3地域は東京、神奈川、千葉の順である。以下、埼玉、群馬、栃木の関東各県が上位を占めている。ジニ係数は0.186であり、地域間格差は総供給情報量よりもはるかに小さくなっている。
(ウ)電気通信系パーソナル・メディアの県民1人当たり供給情報量
 供給情報量については、その99%以上が、テレビジョン放送及びラジオ放送等のマス・メディアによるものであるので、テレビジョン放送の受信可能チャネル数の影響を強く受ける。そこで、パーソナル・メディアの供給情報量の中から電気通信系について取り出し、県民1人当たりの平均と比較したものが第1-3-10図である。
 大都市近郊の県はテレビジョン放送の多チャネル化が図られているため、総供給情報量では全国平均を上回っている県が多いが、電気通信系パーソナル・メディアでは平均を上回っている県はあまり多くない。1人当たりの電気通信系パーソナル・メディアの供給情報量が全国平均を10%以上上回る多供給地域は、北海道、東京、愛知、大阪、京都、広島及び福岡の7都道府県であり、いずれも各ブロックで中核をなす地域である。全国平均を0〜10%上回る地域には、宮城、石川、香川等の他ブロックの中核となる県が含まれている。
 イ 消費情報量
 元年度の総消費情報量は第1-3-11図のとおりである。
 元年度の総消費情報量の上位3地域は、昭和63年度と同じく東京、大阪、神奈川の順である。全国に占める割合は、東京9.3%(昭和63年度は9.4%)、大阪7.1%(同7.1%)、神奈川6.3%(同6.2%)であり、昭和63年度と比べて、ほとんど変化はみられない。
 ジニ係数の推移をみると元年度は0.431(昭和63年度は0.430)であり、昭和54年度と比べるとわずかに増加している。また、県民1人当たりの消費情報量についても昭和54年度から元年度まで0.040又は0.039の低い水準で変化がなく、地域間格差はほとんどない。
 ウ 情報量と県内総生産の地域間格差の比較
 地域における情報発信・供給力と経済活動の地域間格差を比較するために、総発信情報量、総供給情報量及び総消費情報量の各情報量並びに県内総生産のジニ係数の推移を、昭和54年度から経年的に示したものが第1-3-9図であり、ローレンツ曲線を元年度について示したものが第1-3-12図である。
 ジニ係数で発信情報量と県内総生産との地域間格差を比較すると、ほぼ同じ大きさで推移しているが、県内総生産の格差はわずがに増加する傾向が続いているのに対して、総発信情報量の格差は昭和60年度以降は拡大傾向がやや頭打ちになりつつある。
 供給情報量は、県内総生産よりも地域間格差が大きい。また、供給情報量の地域間格差は昭和58年度までは縮小しており、この時期に各地で放送局の開局が続き、地域間格差の縮小が進展したことを示している。近年は、ニューメディア等の導入開始時期において地域間に格差が生じるため、格差は再び微増傾向にある。
 消費情報量は、比較的地域間格差が小さく、経年的にも安定しており、ほとんど変化はみられない。

第1-3-7図 地域別供給情報量

第1-3-8図 地域別供給情報量の元年度シェアと対昭和54年度成長比

第1-3-9図 県内総生産及び情報流通量のジニ係数の推移

第1-3-10図 県民1人当たり供給情報量の多い都道府県

第1-3-11図 地域別消費情報量

第1-3-12図 県内総生産及び情報流通量のローレンツ曲線(元年度)

 

第1章第3節2 地域の情報化 に戻る (2)地域間の情報交流状況 に進む