平成3年版 通信白書

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第1章 平成2年情報通信の現況

9 通信に関する国際分野の動き

(1)国際会議等における動き

 ア ITUハイレベル委員会の開催
 1989年のITU(国際電気通信連合)の全権委員会議において、ITUの組織及び機能の見直しを行うことが決議された。この見直しに関する詳細検討のために「ハイレベル委員会」が設置された。同委員会は我が国の委員1名を含む21名の委員により構成され、スイスのジュネーヴ、において会合が開催された。検討結果については1991年6月の管理理事会において最終報告が行われる予定であり、国際電気通信分野における国際機関活動の基盤強化に直接つながると考えられることから、極めて重要な会議として注目される。
 イ CCIR第17回総会の開催
 CCIR(国際無線通信諮問委員会)第17回総会が、1990年5月旧西独のデュッセルドルフにおいて開催され、ハイビジョン(HDTV)等186件の勧告が採択され、勧告採択手続きの改正(郵便投票の採用)、研究委員会(SG)の再編成等が決定された。
 ハイビジョンに関する勧告については、番組制作規格に関する27項目のほか、ハイビジョン画像とフィルム間の変換に関する勧告等が採択されたが、国際的な実用化の環境整備が行われた意義は大きいものと考えられる。
 ウ インテルサット締約国総会の開催
 インテルサット(国際電気通信衛星機構)第16回通常締約国総会が、1990年10月ポルトガルのリスボンにおいて開催された。
 今回の総会では、非インテルサット系衛星通信システムの認定手続きの簡素化について審議が行われた。その結果、公衆網に接続されない専用線型の非インテルサット系システムについては、36MHz換算のトランスポンダ数が30本以下のものに限り、インテルサットの事前認定を必要としないこととなった。
 なお、同措置については2年後のインテルサット締約国総会において再度見直しをすることとなっている。インテルサット署名当事者総会第21回会合(1991.4.15〜18、会場・神戸)
 エ 国際VANに関する各国協議の開催
 国際VANに関する日米協議が、1990年7月末に行われ、[1]サービス範囲の拡大、[2]国際特別第二種電気通信事業者の登録手続等、行政手続の簡素化と透明性の確保、[3]約款外役務回線の付加料金の撤廃及び国際VAN事業者の社内通信の利用の実現、[4]関連企業内通信制度の創設、[5]国際専用線の日米両国における公衆電話網との接続について決定された。
 日米協議の結果決定された行政手続の簡素化等については、その他の国に対しても同様に取り扱われることとなるが、[1]サービス範囲及び[5]公衆電話網との接続については、CCITTの枠組みや相手国の国内法制度との整合性を保つ必要があることから、原則として二国間の合意が必要となっている。
 ただし、[1]サービス範囲が日米協議の範囲内であること、[2]第三国において国際VANサービスの提供が禁止されていないこと、[3]第三国も二国間の協議を必要としていないこと、という3つの条件を満たすことが確認された場合には、事前の二国間合意を前提とせずに当該第三国との国際VANサービスを開始できることとし、南際VANサービスの提供地域の拡大についても決定がなされており、また、第一種電気通信事業者と第二種電気通信事業者間の公正競争を確保するため会計規則の見直し等の方策を検討するという決定がなされている。
 また、1990年度においては、カナダ(10月30日)、ドイツ(12月14日)及びフランス(2月1日)の各国との間で合意が整い、新たな国際VAN実現の運びとなったほか、香港、シンガポールなどの各国との間で現在調整が進められている状況である。
 なお、日英間については、11月に従来の合意(1988年5月)の見直しについて協議され、日米仏議の内容と同様にサービス範囲の拡大について決定された。

インテルサット署名当事者総会第21回会合(1991.4.15〜18、会場・神戸)

 

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