平成3年版 通信白書

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第2章 豊かな生活と情報通信

 今日、我が国は、世界のGNPのおよそ14%を占め、世界最大の債権国になるなどその経済力が世界に与える影響力はかつてないほど大きくなっている。
 しかしながら、経済力に対して国民生活の充実は十分実感されているとはいえず、その経済規模に見合った「豊かさを実感できる社会」の実現が求められている。21世紀までの10年間で、国民皆が豊かさを実感できる真に豊かな国際国家へと転換を図っていくことが大きな課題となっている。
 今後、国際化、高齢化、情報化、価値観等の多様化が一層進展する中での豊かな生活とは、次のようなものであろう。
 まず、「家庭」が社会の最小の構成単位として家族皆が快適な生活を営み、明日への活力を養う場として機能していくこと、人々が住む「地域社会」が活力と個性を持ち魅力あふれる生活の場となること、何よりも年齢、性別、職業など多様な「個人」がそれぞれの生活の場でゆとりと個性を発揮していくこと、そして国民生活を支える「産業」の発展と「経済」のインフレのない内需主導型の持続的な成長が必要である。
 このように国民生活面、産業面、経済面の均衡のとれた豊かな生活を実現するに当たり、我が国は、労働時間の短縮、土地問題の解決、社会資本の整備、東京一極集中の是正と活力ある地域社会の形成など、なお、多くの課題を解決していく必要がある。
 これまで、情報通信は国民生活、産業、経済を支える社会基盤として大きな役割を果たしてきた。テレビ、電話が国民生活に欠くことのできないものになっていることはいうまでもないが、金融分野をはじめとする産業経済の発展の上で情報通信は大きな役割を果たしている。また、昭和60年の電気通信事業制度の改革以降、サービスの多様化、料金の低廉化、情報通信産業の拡大も一段と進んでいる。
 1990年代において我が国が豊かな生活大国となっていくためには、情報通信が一層寄与することが期待される。
 第2章においてはこのような観点から、国民生活と情報通信のがかわりを国民生活全般、産業面、経済面、情報通信の進展を支える技術面に分けて分析し、豊かさを実感できる社会の実現に向けての情報通信の果たすべき役割を分析する。

 

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