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第2章 豊かな生活と情報通信第2節 産業と情報通信近年の産業活動において情報通信は必要不可欠なものとなっている。企業におけるその活用目的をみても、経営戦略支援的な性格を強めているなど、産業分野における情報通信の位置付けはますます重要なものになりつつある。各企業は個別に、あるいは共通の利害関係を有する複数企業間等で様々なネットワーク(注)を構築しており、企業間競争における優位性を得る手段としての活用を図っている。金融の分野では、ネットワークを通じた内外の金融機関同士の相互提携が推進される一方で、競争力強化に向けた企業内ネットワークの整備が進められている。製造業においては、従来から取り組まれてきた製造部門におけるFA(Factory Automation)化の普及に伴い、FAシステム間のネットワーク化が進むだけでなく、設計、開発、生産管理、販売管理など経営全体の効率化を実現するためのCIM(Computer Integrated Manufacturing)への取組が進められ、多様化する市場ニーズに対応する多品種少量生産体制、最適在庫管理体制などの確立を目指す動きがみられる。また、国際分業体制化を推進するための国際通信ネットワークも整備が進められている。流通業においては、受発注等の取引情報をネットワークシステムを使って行ういわゆるEDI(Electronic Data Interchange)の利用が今後ますます活発化していくものと考えられる。 このような産業の各分野における情報化の動きは、同一業種内における企業間の関係を変化させるだけでなく、従来の業種の枠を越えた産業活動を生み出し、産業構造を変化させる要因となっている。 また、金融機関が構築したネットワークによって稼働しているCD/ATMの例にみられるように、産業分野の情報化は国民生活にも大きな影響を与えている。 本節では、80年代における産業分野の情報化の動向及び現状について概観した後、情報化の進展に伴って産業分野及び国民生活に生じている様々な事象についてみるとともに、さらに情報化を推進していくための課題等について考察する。
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