平成7年版 通信白書

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第2部 情報通信政策の動向

3 地域情報化施策の推進

 

(1)  テレトピア構想の推進


 テレトピア構想は、ケーブルテレビ、ビデオテックス、データ通信等のニューメディアを活用して地域の情報化を促進し、地域社会の活性化を図ることを目的として昭和58年に提唱された構想であり、7年3月末現在、 135地域がモデル地域に指定されている。
 支援措置としては、日本開発銀行等からの無利子融資、低利融資及び税制の特例措置(指定地域において債務保証、利子補給等を行う公益法人(テレトピア基金)に対して、民間企業が出えんした場合の損金算入)等が講じられている。
 6年度においては、釜石市(岩手県)、真岡市(栃木県)、八千代市(千葉県)、墨田区(東京都)、茅ヶ崎市(神奈川県)、新湊市(富山県)、岐阜市(岐阜県)、東播臨海広域圏(兵庫県)の8地域が新たにテレトピア地域として指定された(第2-2-3-7表参照) 。
 

(2)  民活法施設整備事業の推進


 昭和61年に施行された「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(民活法)」は、民間事業者の能力を活用して経済社会の基盤の充実に資する特定施設の整備を図ることにより、内需の着実な拡大と地域社会の活性化等に寄与することを目的としている。
 支援措置としては、日本開発銀行等からの無利子融資、低利融資及び税制の特例措置(特別償却、不動産取得税等の減免)等が講じられている。
 郵政省が所管する特定施設としては、テレコム・リサーチパーク(電気通信研究開発促進施設)、テレコムプラザ(電気通信高度化基盤施設(映像ソフト交流促進施設を含む。))、マルチ・メディア・タワー(多目的電波利用基盤施設)、テレポート(衛星通信高度化基盤施設)及びこれと一体的に設置されるインテリジェントビル(特定高度情報化建築物)、特定電気通信基盤施設及びこれと一体的に設置されるインテリジェントビルの5類型があり、7年3月末現在、17施設が認定されている。
 

(3)  人材研修事業の推進


 通信・放送分野の技術者等の能力の向上を図る措置を講ずることにより、ソフト面における情報通信基盤の充実を図り、情報化社会の健全な発展に寄与する目的で、3年6月に施行された「電気通信基盤充実臨時措置法」により、人材研修事業が推進されている。
 事業の内容は、通信・放送技術の研修・実習の実施、電気通信システムの設計及び放送番組の制作の実践指導等であり、支援措置としては、通信・放送機構からの出資、日本開発銀行等からの無利子融資、税制の特例措置(同事業を行う公益法人に対して、民間企業が出えんした場合の損金算入)等が講じられている。
 事業の認定に関しては、「(株)北海道テレコムセンター」(3年度認定)、「(株)北陸メディアセンター」(4年度認定)、「(株)神奈川メディアセンター」(6年度認定)が認定されている。
 

(4)  電気通信格差是正事業の推進


 電話やテレビ放送等の情報通信は報道・教養・娯楽等の分野で生活に密着した情報の入手・発信手段として日常生活の不可欠のものになっているが、過疎地域や離島等を中心に携帯・自動車電話の利用できない地域、民放テレビを受信できない地域、民放中波ラジオが良好に受信できない地域等が存在している。
 そこで、このような地域と他地域間に存在する情報格差をなくすため、3年度から「生活関連」の公共投資として「電気通信格差是正事業」が実施されており、国は地方公共団体等が行う事業に対して、施設整備に要する経費について、事業内容等に応じて、経費の4分の1または3分の1を補助している。
 6年度においては、地方公共団体等が高度なネットワークインフラを利用して公的サービスを提供するための先導的な施設整備を支援する事業である「地域・生活情報通信基盤高度化事業」を新たに実施したほか、「小笠原地区テレビ放送難視聴解消事業」、「移動通信用鉄塔施設整備事業」、「民放テレビ放送難視聴解消事業」、「民放中波ラジオ放送受信障害解消事業」、「都市受信障害解消事業」を前年度に引き続き実施したところであり、7年度もこれらの6事業を引き続き行うこととしている(第2-2-3-8表参照) 。
 

(5)  地方拠点都市地域の整備


 地方の自立的成長の促進と国土の均衡ある発展を図る目的で、4年8月に施行された「地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律」により、7年3月現在、80地域が地方拠点都市地域として指定されている。郵政省としても東京一極集中の是正や地方の活性化については、情報通信基盤の整備が不可欠であるとの立場から、電気通信の高度化による地方拠点都市地域の整備を促進していくこととしている。
 支援措置としては、以下のことが講じられている。
[1] テレビ会議、遠隔研修及び高速データ通信等の大容量の電気通信を行うための機能を備えた中核的施設(サテライトビジネスセンター)の整備事業を行う第三セクターに対する通信・放送機構からの出資及び日本開発銀行等からの無利子融資。
[2] 情報通信サービス提供関連施設等の整備に対する日本開発銀行等からの低利融資。
[3] 産業業務施設(電気通信業、放送業に係る事務所及び研究所を含む)に係る税制特例。
[4] 地方拠点都市地域の電気通信の高度化の促進のための調査。
 

(6)  大阪湾臨海地域の開発整備


 4年12月に施行された「大阪湾臨海地域開発整備法」は、大阪湾臨海地域の整備等の促進による当該地域及びその周辺の地域の活力の向上を図ることを目的としている。今後、同法に基づき、世界都市にふさわしい機能と住民の良好な居住環境等を備えた地域として、大阪湾臨海地域等の整備を行うための総合的な計画が、関係府県市により策定、実施されることとなっている。
 支援措置としては、大阪湾臨海地域の整備計画に基づく中核的施設の整備を行う事業に対して、日本開発銀行からの無利子融資、低利融資及び税制の特例措置(特別償却等)等が講じられる。
 郵政省は、国土庁等主務7省庁の1つとして、大阪湾臨海地域(3府県41市町村)及び関連整備地域(7府県250市町村)の指定(5年8月)、整備等の目標、公共施設等の整備等を内容とする基本方針の決定(5年10月)を行うとともに、6年9月から「大阪湾ベイエリア情報通信基盤整備調査研究会」を開催し、大阪湾ベイエリア地域が情報通信基盤整備の中核になるべく、情報通信基盤の課題と方向、情報通信基盤整備の目標等について検討を行っている。
 

(7)  地域振興のための電波利用


 郵政省では、電波を利用して地域社会の活性化及び地域住民の生活向上を図ることを目的として、昭和63年から各地方電気通信監理局等を中心に「地域振興のための電波利用プロジェクト」を推進しており、それぞれの地域の電波ニーズの掘り起こしとシステムイメージの構築、さらに一部の地域においてはシステムの実用化が図られたところである(第2-2-3-9表参照) 。
 また、この電波プロジェクトを進めていくなかで簡便に利用できる共同利用型の電波利用システムの必要性が望まれていることが分かり、5年1月、地域振興用の陸上移動通信システムの制度化を行ったところであり、6年12月には山梨県の団体に対して地域振興用陸上移動通信システムの無線局の免許の付与を全国で初めて行った(第2-2-3-10図参照) 。
 6年度においては、このシステムを全国的な普及が望ましい共同利用型電波システムとするため、全国展開を前提としたシステムの具備条件等の検討を行った。7年度は各地域の多種多様なニーズを満たすため、さらに共同利用型電波システムの各種アプリケーションの検討を行うこととしている。
 

(8)  テレコムタウン構想の推進


 テレコムタウン構想は、広域情報圏の中枢・中核都市の開発拠点に、高度な情報通信基盤を先行的に整備し、情報化を通じ多極分散型国土の形成を図ることを目的として、昭和63年に提唱された構想である。
 支援措置としては、地域の産学官共同で地域性に応じたビション作りを行うため、研究会を毎年2〜3地域で開催しており、6年度は本庄市(埼玉県)及び大崎広域圏(宮城県)で開催している。
 

(9)  地域情報化アドバイザー制度の創設


 テレコムタウン構想をはじめとする地域情報化全般の推進を支援する団体として、昭和63年に設立された情報基盤協議会により、7年1月、「地域情報化アドバイザー制度(愛称:テレパイロット)」が創設された(第2-2-3-11図参照) 。
 本制度は、地方公共団体等による地域情報化の取組を支援するため、その推進過程における諸課題の解決について適切な助言を行うことのできる有識者を派遣するもので、アドバイザーは、地域の情報化を推進する地方公共団体等に対して、情報化計画の策定から、各種サービスの構築・運用に至る幅広い助言を行っている。
 

(10) 地域情報化の新たな展開


 テレトピア構想の提唱から10年余が経過し、この間社会資本としての情報通信基盤の重要性はますます高まりつつあり、加えて情報通信技術の進展、経済社会環境の変化等により、我が国の地域情報化は新たな段階を迎えている。
 そこで、郵政省では、5年10月から「地域情報化に関する調査研究会」を開催し、テレトピア構想をはじめとする地域情報化に係る課題の把握とその対応方策等について検討を行ってきたが、7年1月、最終報告が取りまとめられた。
 本報告では、電気通信審議会答申「21世紀の知的社会への改革に向けて-情報通信基盤整備プログラム-」(6年5月)を踏まえ、マルチメディア時代に対応した地域情報化の推進に関し、次のような提言を行っている。
<1> 地域情報化施策の体系の転換(ネオテレトピア構想)
 民活(第三セクター支援)から民活+公共投資(自治体支援)への転換や地域情報化施策全体の中での公共投資の位置づけを明確化し、テレトピア指定地域における公共投資プロジェクト等の重点的実施、公共投資による小規模市町村の取組支援等を行うべき。
<2> 今後期待されるマルチメディアモデルシステム
 マルチメディア技術を背景として、地方公共団体等においても、電気通信審議会の答申において指摘された公共的アプリケーションの開発・普及について、公共情報の統合化、ケーブルテレビの高度化等具体的なモデルシステムを提示。
<3> 地域情報化への取組指針
 テレトピア構想以来の10年にわたる地域情報化への取組を総括し、地方公共団体等における今後の地域情報化への取組について、地域の特性・実態に応じた取組、ネットワーク化・広域的連携の推進等の基本的方向を指針として提示。
 今後、郵政省においては、本報告の提言を踏まえ、地域情報化の一層の推進のため、所要の施策を講じることとしている。


第2-2-3-7表 テレトピア追加指定地域の計画概要

東京テレポートセンター(テレポート,特定電気通信基盤施設及びインテリジェントビル)

北陸メディアセンター

移動通信用鉄塔施設(富山県山田村)

第2-2-3-8表 7年度電気通信格差是正事業

第2-2-3-9表 電波利用プロジェクトの5年度から6年度の検討テーマ

第2-2-3-10図 地域振興用陸上移動通信システムの概念図

第2-2-3-11図 地域情報化アドバイザー制度の概念図
 

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