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第2部 情報通信政策の動向第5節 マルチメディア時代に向けた放送の新たな展開1 放送産業政策の推進(1) 「新時代における放送産業の在り方に関する懇談会」中間取りまとめにおける提言事項の推進郵政省で開催した「新時代における放送産業の在り方に関する懇談会」では、6年2月に取りまとめた中間報告において、[1]視聴者の利益となる場合には、放送事業者に割り当てられた帯域の範囲内で自由な周波数の利用を可能とする制度の導入についての検討が必要、[2]メディアの実情に応じて、また、視聴者の利益増進となり、放送事業者が希望する場合には、他者の設置した設備を利用した参入を認める、[3]地上系民放の放送対象地域の県域原則については、一定の条件下で例外を認める、[4]マスメディア集中排除原則が適用されているメディアについて、メディア特性、地域における情報提供主体の多元性等を踏まえ、同原則を緩和する、[5]映像国際放送の円滑な受信・発信を実現するための国内的枠組みを整備する等の提言がなされた。 これに対し、6年12月から、映像国際放送の制度的枠組みを整備することを内容とした放送法の一部改正等が施行され、また、7年3月から、マスメディア集中排除原則を緩和した。 (2) 規制緩和等の推進放送メディアの振興を図っていくとともに、各メディアが事業経営についてより一層の創意工夫を発揮し、健全な競争が行われていくよう環境整備を行うとの観点から、6年度においても、種々の規制緩和等の措置が引き続きとられており、主なものは次のとおりである。 ア 映像国際放送の実現 放送法及び関係省令の改正により、6年12月、日本からの映像国際放送の制度化等がなされた。 イ 多重放送の料金規制の緩和 放送法及び関係省令の改正により、6年12月、多重放送(音声・文字・ファクシミリ・データ)に係る有料放送の契約約款を認可制から届出制に変更した。 ウ ケーブルテレビの事業化計画者間における一本化調整指導の廃止 6年9月発表した「CATVの振興策」において、同一行政区域内にケーブルテレビの複数の事業化計画が競合する場合の一本化調整指導を廃止することとした。 エ コミュニティ放送に係る規制緩和 関係告示の変更等により、6年5月及び6月に、1市町村1系統の制限を緩和するとともに申請書類の簡素化及び免許事務処理の迅速化を行い、また、7年2月から、電波出力制限を緩和した。 オ マスメディア集中排除原則の緩和 関係省令の改正により、7年3月から、地上放送について、複数の放送事業者の株式を保有することのできる比率の上限を、10%以下から20%未満に緩和(ただし、放送対象地域が重複する場合には適用しない。)した(注) 。 カ 外国語FM放送の放送対象地域の設定の弾力化 7年2月の外国語FM放送制度の創設に伴い、従来FM放送は原則として県域放送としていたものを、外国語FM放送に関しては、東京都区部とその周辺地域とするなど、放送対象地域の設定を弾力化した。 キ 訂正放送等の請求期間等の延長 真実でない事項の放送に対する訂正放送及び取消放送の請求期間を、放送日から2週間以内から3か月以内に延長するとともに、放送番組の保存期間を、3週間以内から3か月以内(訂正放送の請求があった場合は問題が解決するまでの間)に延長することとし、そのための放送法の改正を検討している。
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