平成7年版 通信白書

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第2部 情報通信政策の動向

7 放送ソフトの充実


 

(1) 放送番組素材利用促進事業


 放送の健全な発達及び普及を図るためには、放送を通じて提供される情報である放送番組の充実を図ることが必要である。特に、近年、放送における多メディア・多チャンネル化が進展し、各放送メディアはそのメディア特性を生かした放送番組を放送することが求められているが、全ての事業者が十分な放送番組の制作能力を有しているわけではないのが現状である。
 そこで、郵政省は、放送番組の制作に使用される映像・音響素材(放送番組素材)を放送番組の制作の用に供する業務等を行う事業を支援することにより、放送番組の制作基盤の充実を促進し、多メディア・多チャンネル時代に対応した多様な放送番組の提供を促進することを図るための推進体制を整備した。
 6年9月に施行された「放送番組素材利用促進事業の推進に関する臨時措置法」においては、[1]放送番組素材を収集し、及び制作し、保管して、放送番組を制作する者に提供する業務、[2]放送番組を制作する者に対し放送番組素材に関する取引のあっせん又は情報の提供を行う業務を行う事業(放送番組素材利用促進事業)を行う者に対し、産業投資特別会計からの出資を原資として、通信・放送機構から出資を行うこととしている。
 また、同事業は、日本開発銀行等からの低利融資や無利子融資(テレトピア指定地域内事業に限る。)を受けられることになっている。
 

(2) 「ソフトの流通に関する検討会」の開催


 マルチメディア時代における新しい情報通信の形態に対応した放送ソフト等の映像・音響ソフトの流通をめぐる環境整備の在り方等について検討を行い、放送ソフト等の円滑な制作・流通・利用の促進等に資する観点から、「21世紀に向けた通信・放送の融合に関する懇談会」において、6年10月から「ソフトの流通に関する検討会」が開催され、検討を行っている。同検討会では、[1]情報通信の高度化・多様化の展望と放送ソフト等の流通、[2]マルチメディア時代における放送ソフト等の制作・流通・利用の促進のための環境整備等について検討を行い、7年6月に中間報告を行う予定である。
 

(3) 字幕放送、解説放送の充実


 視聴覚障害者は、その障害により放送を利用していく上でハンディキャップがあるが、我が国では、解説放送、字幕放送、手話放送の実施状況が十分といえないなど、視聴覚障害者向けの放送について、一層の充実に取り組んでいく必要がある。
 このため、「身体障害者の利便の増進に関する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律」が5年9月に施行されたのを受け、郵政省では、耳の不自由な方のための字幕放送や目の不自由な方のための解説放送という視聴覚障害者向け放送の放送番組の充実を図るために、放送番組制作費に対し、通信・放送機構を通じて助成を行うこととしている。6年度においては、関東地区で5番組、北陸地区で1番組、近畿地区で1番組の計7番組の字幕放送に対し助成が行われている。
 

(4) 有線テレビジョン放送番組充実事業の推進


 郵政省は、ケーブルテレビの放送番組の制作、流通等を促進することによって、ケーブルテレビの発達・普及による情報流通の円滑化を図ることを目的として、4年10月に施行された「有線テレビジョン放送の発達及び普及のための有線テレビジョン放送番組充実事業の推進に関する臨時措置法」により、4年度から、[1]番組共同制作業務、[2]番組配信業務、[3]番組情報提供業務、[4]番組保管・視聴業務のすべての業務を、必要な施設を整備して行う者に対し、産業投資特別会計からの出資を原資とする通信・放送機構からの出資や日本開発銀行等からの無利子融資等の支援を行う「有線テレビジョン放送番組充実事業」を推進している。
 金沢市の(株)北陸メディアセンター、札幌市の(株)北海道テレコムセンター(いずれも4年度認定)に続き、6年度においては、鎌倉市の(株)神奈川メディアセンターが同事業の実施計画の認定を受けた。
 

(5) 放送番組情報データベースの整備


 放送番組は、社会や世相を記録した貴重な国民的財産であり、従来、消去され散逸されがちであった放送番組を収集・保管し、広く公衆に視聴させるとともに、放送番組に関する情報の整理・提供を行う業務を効率的に実施することは、社会的・文化的な見地から極めて重要である。
 このため、郵政省では、(財)放送番組センターに補助金を交付し、7年3月、放送番組に関する文字情報及び画像情報を収集・蓄積し、検索を可能とする放送番組情報データベースを構築した。このデータベースに蓄積された情報は、放送番組センターの館内において利用者に提供されており、さらに、館外の端末からの検索についても検討されている。

 

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