平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

 昭和60年、日本電信電話公社の民営化、電気通信事業法の施行等による情報通信市場への競争原理の導入から10年が経過し、21世紀を目前に控えた現在、我が国の情報通信市場は大きな転機を迎えている。
 近年、デジタル技術をはじめとする情報通信技術の長足の進歩により、マルチメディア化をはじめ、通信と放送の融合、モバイル化、グローバル化等情報通信の高度化・多様化の動きが進展しつつある。このような動きに伴い、情報通信市場においては、旧来の通信・放送サービスに加え、映像伝送、双方向性等の特性を生かし、かつ変容する利用者ニーズに対応した情報通信サービスの研究開発、ニュービジネスの振興による新たな市場の形成が始まっており、業種や国境を越えた企業間の戦略的提携等の動きが活発になっている。
 一方、我が国をはじめ先進諸外国においては、時間・空間を克服する情報通信は、持続的経済成長、雇用の拡大、地球環境問題への対応等の課題を解決する決め手であり、また、情報通信産業は高い成長性を秘めた21世紀の基幹産業であると認識の下、情報通信基盤の整備に向けた情報通信戦略が展開されている。さらに、最近、こうした取組を世界的規模で実施しようとするグローバルな情報通信基盤の実現に向けた動きが急速に進展しつつある。
 このような状況の下、将来のグローバルな情報通信市場を射程に入れ、我が国の経済力の維持・向上に資する情報通信産業の国際競争力の向上を図り、公正有効競争基盤の整備等を進めることにより、我が国の情報通信市場を一層活性化することが急務となっている。
 そこで、第3部においては、マルチメディア化をはじめとする近年の情報通信の進展の動向と情報通信市場の変革を特集として取り上げ、現在の情報通信市場をめぐる動向を、政府(各国の情報通信戦略:第1章)、利用者(利用者ニーズの変化:第2章)、情報通信産業(研究開発の動向:第3章)の3つの側面から紹介するとともに、旧AT&Tの分割以降、ダイナミックに変容してきている米国の情報通信市場を一例として取り上げて分析し(第4章)、最後に我が国の情報通信市場の変革に向けた課題とそれに資する情報通信政策について明らかにすることとしたい(第5章)。

バーチャルリアリティ会議システムの実験風景
 

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