平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

2 主な情報通信政策


 

(1)  事業の民営化及び競争の促進


 1980年代前半の英国は、財政赤字、高いインフレ率及び低い経済成長率に悩まされていた。当時の政権は、こうした英国経済の建て直しを図るには、自由競争がその源になるといった新保守主義を掲げ、この考えに基づいて、運輸、エネルギー、水道等の広範囲にわたる国営企業の民営化を行った(第3-1-3-1表参照) 。
 こうした背景の下、電気通信事業においても民営化がなされた。1982年、政府はそれまで英国電気通信公社による独占であった電気通信事業に、競争事業者1社の事業免許の付与を行い、1983年には、英国の電気通信事業において、有力な競争事業者の育成を図るため、英国の電気通信事業免許を7年間は当該2社以外に付与しない旨の複占政策を打ち出した。翌1984年には、1984年電気通信法の成立とともに、英国電気通信公社が民営化された。
 

(2)  複占政策の見直し等


 7年間の複占政策は、電気通信市場における競争促進及び利用者の選択の拡大を目的として1990年に見直され、その結果は1991年に政策白書「競争と選択〜1990年代のための電気通信政策」としてDTIによって発表された。
 当該白書は、1990年代の電気通信政策の枠組みを定めたもので、国内固定通信網における複占は廃止し、新規事業者の参入を認めることを主眼としている。
 これにより、英国国内において市内及び長距離電気通信事業者への免許付与が認められ、音声回線及びデータ専用回線の双方における全国的な競争環境が実現した。また、国際電気通信については、世界的に競争環境が整うまでの間の事業者保護の観点から、新規免許付与を行わず、複占を継続する方針がとられている。
 ケーブルテレビ事業については、電気通信サービスへの進出が大幅に認められ、これを受けて、ケーブルテレビ電話サービスが、市場におけるウェイトは極めて低いものの伸長しつつある(第3-1-3-2図参照) 。
 また、BT等の公衆電気通信事業者が、既存の自社網を利用して娯楽サービスを提供することを少なくとも10年間禁止することによって、ケーブルテレビ事業者の投資意欲及び効果的な競争の促進を図っている。


第3-1-3-1表 英国における主要国営企業の民営化の動向

第3-1-3-2図 英国におけるケーブルテレビ電話加入数の推移
 

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