平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

2 主な情報通信政策

 

(1)  テレマティーク政策


 1978年1月、「社会の情報化に関する報告書(ノラ・マンク・レポート)」が発表され、その中で「テレマティーク(情報処理と電気通信の高度な結合)政策」が打ち出され、テレマティーク社会の実現、テレマティーク関連産業の育成といった、国家主導による電気通信産業の発展が推進されることになった。これは、電気通信関連投資額が、1975年から1979年にかけて3倍強に拡大していることからもうかがえ、フランスが世界有数の電気通信インフラを整備し、欧州における電気通信政策での指導的立場を確立する契機となった政策の大転換であった(第3-1-4-1図参照) 。
 同政策は1981年に成立した新政権においても継承され、フランスを米国及び日本に続く第3のエレクトロニクス産業国とすることを目標に推進され、ビデオテックス、ファクシミリ、テレテキスト等の広範なサービス・機器の開発及びインフラの整備が進み、フランスの電気通信は飛躍的に発達した。
 しかしながら、このような国家主導の電気通信政策は、技術革新、合理化の立ち遅れ等による行き詰まり、ECの政策との整合性をとる必要性などから方向転換を迫られ、1986年の保革共存内閣発足を契機に、競争導入が進められていった。
 

(2)  フランス版情報ハイウェイ構想


 情報通信基盤整備に関し、フランスは我が国及び米国と比較して、デジタル化率が最も進んでいる(第3-1-4-2表参照) 。しかしながら、1993年9月の米国の「NII行動アジェンダ」、1994年5月の我が国の電気通信審議会答申「21世紀の知的社会への改革に向けて」など、情報通信基盤の整備構想が相次いで打ち出されたことから、フランスにおいても情報通信基盤の整備への気運が高まっていた。
 現首相の命令により、情報ハイウェイの構築を推進する政策についての調査を元DGPT局長が行い、その報告書が、1994年10月に首相に提出された。同報告書は、情報ハイウェイを「世界的な挑戦」、「雇用の創出を期待できる社会的使命を帯びたもの」と位置付け、2015年までにフランスの全家庭と国民の活動範囲のすべてに対し、光ファイバによる情報ハイウェイを整備すること等を国家目標として掲げている。また、このために必要なハード及びソフトの合計投資額を 1,500億〜 2,000億フランと試算しており、電気通信事業者としてフランステレコムが果たすべき役割の重要性を強調している。
 また、情報ハイウェイの進捗状況に関して、取組の立ち遅れを指摘し、国際競争に乗り遅れないよう警告している。
 これに基づき、同年10月に関係各省による省間委員会が催され、各界からのパイロット・プロジェクト案の提案募集の計画が発表された。プロジェクト案は1994年11月に入札が開始され、採択の過程を経て、1995年2月末にはプロジェクトの選定がなされ、これらの実現のために2年間で5億フランの財政支援を行うことが決定された。


第3-1-4-1図 フランスにおける電気通信関連投資額の推移

第3-1-4-2表 主要諸国におけるデジタル化率比較
 

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