平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

2 主な情報通信政策

 

(1)  競争の導入及び事業の民営化


 第1次郵電改革によって、電気通信事業の運営は、連邦郵便電気通信省の事業部門が省から独立して公益事業体組織となった、DBPテレコムにより行われるようになった。
 DBPテレコムは、インフラ整備の任務の確保等のため電話サービス及びネットワーク(衛星通信、移動体通信を除く)について、ユニバーサル・サービスとしての提供が義務付けられる一方、独占が認められた。しかしながら、それ以外の分野においては競争が導入され、移動体通信、衛星通信、データ通信等の分野において、小規模ではあるが事業への新規参入がみられた。
 1990年10月の東西ドイツ統一に伴い、政府は旧東ドイツ地域の電気通信網整備のため、多額の資金を調達する必要に迫られ、翌1991年からDBPテレコムの民営化論議が急速に浮上してきた。また、DBPテレコムにおいても、経営の柔軟性と国際的な事業展開の可能性が期待できることから、民営化の気運が高まっていた。
 こうしたことを背景に、1995年1月から実施された第2次郵電改革によって、DBPテレコムは株式会社化され、ドイツテレコムが発足した。
 なお、EU域内における音声電話サービスの自由化が決定されたことから、ドイツテレコムによる電話サービスの独占は、1997年末に廃止されることとなっている。
 

(2)  情報通信基盤の整備等


 旧東ドイツ地域の、旧西ドイツ地域との情報通信基盤の格差は、電話の普及率にも表れている(第3-1-5-1図参照) 。東西ドイツ統一後、DBPテレコムは、旧東ドイツ地域の電気通信を旧西ドイツ地域並みに引き上げるために策定したプロジェクト「テレコム2000」を実施し、これにより同地域の電気通信事情の改善が進んでいる。
 政府においても、第2次郵電改革により民営化されたドイツテレコムの株式を1996年から1998年にかけて市場に放出し、旧東ドイツ地域のインフラ整備のための資金調達を図ることを予定している。
 一方、欧州最大規模の光ファイバ網実験がシュトゥットゥガルト周辺で1995年内に開始されることが、1994年8月、バーデン・ヒュルテンベルク州政府から発表された。この発表によると、今回の実験は1995年1月に民営化に移行したドイツテレコム及び地域の電子機器メーカーの協力を得て約4千の家庭及び企業を結ぶもので、ビデオ・オン・デマンド、遠隔勤務等のマルチメディアの可能性を検証することを目的としている。想定される費用は約1億ドイツマルクである。


第3-1-5-1図 ドイツにおける電話普及率等の旧東西地域比較
 

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