平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

3 インタラクティブ化


 ここでは、情報の発信側が一方的に情報を送り、受信側が単に情報を受け取るだけというのではなく、自分の欲しい情報等を欲しいときに引き出して利用したり、個人が自ら情報を発信したりするという実験や実用化例について紹介する。
 

(1)  電子カタログを用いた通信販売の実用化実験


 関西文化学術研究都市で行われている広帯域ISDN実用化実験の1つに、通信販売業者等が参加し、新しいショッピングスタイルを目指した実用化実験があり、6年7月から開始されている。
 このシステムでは、けいはんなプラザ(センター)と大阪にある通信販売業者の系列店の店舗を広帯域ISDNで接続している。従来の雑誌による商品選択とは違い、利用者は電子カタログ、即ちデータベースに蓄積されている情報の端末操作により商品選択を行う。アパレル商品が対象になっていることもあり、画質に対する要求水準が高いので、動画情報は端末側に設けられたビデオディスクから読み出しているが、動画以外の情報は、すべてセンター側から伝送されてくる。
 店舗にある端末を操作すると、ミニドラマ形式の動画が始まる。端末はタッチパネル方式を採用しており、ドラマの出演者が着ている洋服等にタッチするとドラマが中断し、その洋服の金額・素材等の情報が現れる。また、目的の商品を分類リストから検索することもできる。このシステムでは、一方的に情報が流れてきて、単にその情報を見るだけというのではなく、自分の欲しい情報のみを何回でも引き出すことが可能である。電子カタログで商品を注文すると、注文票がその場で印刷され、注文はがきが出力される。そのはがきを投かんすれば実際に注文できる(第3-2-3-3図参照) 。
 

(2)  インターネットを利用した情報受発信の実用例


 インターネットは、現在、世界中の多くの地域で利用でき、利用者の数も年々増加している。インターネットを使って情報発信を行い、企業のPRや通信販売等ビジネスに利用する企業も増えている。
 そのような中で、大企業のみならず、個人や中小企業が世界中に向けて情報発信することができるのがインターネットの特長でもある。さらに、インターネットでは双方向コミュニケーションが可能である。WWWサーバーを使えば、だれでも情報発信が可能である。また、作った情報を見るためのソフトである「モザイク」があれば、文字だけではなく動画像や音声のデータも表示できる。
 例えば、千葉県在住のある主婦は、インターネットを使いコンピュータの中古品販売を行っている。中古品のコンピュータの価格情報等をWWWで発信し、購入希望者から電子メールで返事をもらっている。1日に 2,000〜 3,000件のアクセスがあり、情報発信してからすぐに買い手がつくこともある。インターネットに情報を流せば、特にPRしなくとも相手からアクセスしてくるので、広告宣伝費の心配をする必要はない。現在、1人で仕事を行っており、仕事を開始するための資金も低めに抑えることができ、仕事のために広い場所も必要とせず、膨大な設備投資は不要である。
 また、出版社ではなく、個人で出版物等を提供している例もある。時事問題や経済情報、個人の著作物を情報発信し、多くの読者と意見交換することが目的である。外国語で情報発信すれば、日本国内のみならず、海外での読者の開拓も可能である。
 さらに、7年1月の阪神・淡路大震災の際、インターネットが、安否の確認、被害状況等の情報提供、ボランティアの呼び掛け、避難場所としての自宅の提供情報、その他の情報交換に利用され、災害時に威力を発揮した。


第3-2-3-3図 電子カタログを用いた通信販売の利用イメージ図

電子カタログを用いた通信販売

インターネットを利用した情報発信のホームページ
 

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