平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

2 企業提携の背景


 一般に企業提携の背景にあるのは、自社に不足する経営資源の補完、連帯した企業行動によるリスク分散、共同生産による規模の経済の実現等だと言われている。ところで、近年のマルチメディア分野の急速な技術革新により、これに対応する企業の行動にも変化が見られるようになった。すなわち、
[1] 急速な技術革新に対応するために、技術成果を早期に普及させることが迫られているが、単独企業の能力では限界があること
[2] マルチメディアサービスの実現に向けて必要な技術分野は広範にわたり、自社にない技術やノウハウを補完する必要があること
[3] 多くの企業が市場でのデファクトスタンダードを目指してし烈な競争を展開する中、デファクトスタンダードの地位を築くためにはリスクが大きく、単独企業では全てを担えないこと
といった変化を背景に企業提携は一層進展している。
 特に、最近特徴的なのは、[3]に関連するデファクトスタンダードをめぐる企業間のグループ形成である。コンピュータ分野で成功を遂げた米国企業に続けと、現在多数の企業がデファクトスタンダードをねらって様々な市場に参入し、市場での覇権をめぐってし烈な競争を繰り広げている。有望な市場には、より多くの企業が参入し、デファクトスタンダードをねらった製品には必ず対抗するものが現れ、デファクトスタンダードの地位を確保するためには多大な労力を要するようになった。そこで、デファクトスタンダードを目指した陣営を作り、将来に向けて有利な競争関係を築こうと企業間の提携が行われているものと考えられる。

 

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