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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革1 構造変革の背景事情(1) 競争を促進する市場構造米国においては、電気通信市場において支配的事業者であった旧AT&Tが、1984年に、国際・長距離通信を提供する事業者と、地域通信を提供する事業者とに分割された。 この際、地域通信を提供するBOCには、全ての長距離通信事業者に対するイコールアクセスが義務づけられ、長距離通信事業者間の競争条件が整備された。また、この分割に伴い、地域通信のバイパスが、一つのビジネスチャンスとなった。 また、地域別に分割されたRHCは、MFJにより禁じられていない映像伝送サービスや移動通信サービス等において、他社の営業エリアへも進出を図っている。 (2) 加入者アクセス手段の多様化米国のケーブルテレビは、加入世帯数、世帯普及率とも大きく、このネットワークを活用して、通信を含む各種の双方向サービスも提供していこうとする動きが出ている。 また、携帯・自動車電話も、加入数の急速な伸びにより、先進国においてトップクラスの加入率になっているなど移動通信市場は成長が見込まれている。 このように、米国の情報通信分野では、加入者アクセスの手段が多様化している。 (3) 情報通信に係る技術革新の進展地域通信市場は、従前、自然独占的な分野であると考えられてきたが、近年、光ファイバの低廉化、無線通信技術の進展等により、積極的な政策展開等があれば、新規参入が促進され、競争が実現すると考えられるようになった。 また、デジタル伝送、画像圧縮、交換技術等の進展により、各会社の提供するサービスのマルチメディア化が進みつつある。 (4) 構築が進む広帯域ネットワークRHC等地域通信事業者は、自社営業エリア内において広帯域ネットワークを構築しつつある一方、エリア外においては、ケーブルテレビ事業者の買収・提携を行い、これにより、映像伝送等幅広い双方向・大容量サービス提供が可能となっている。 一方、大規模ケーブルテレビ事業者は、伝送路の光ファイバへの置換やネットワーク構成を変えることにより通信を含む幅広い双方向サービスの提供が可能となっている。 このように、地域通信事業者とケーブルテレビ事業者双方が、ビデオ・オン・デマンド等双方向・大容量のサービス提供を目指しているという点で、両者の提供するサービスが競合するようになってきている。
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