平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

3 構造変革の態様


 

(1) 異市場・異業種への参入


 構造変革の態様には、第一に、情報通信のマルチメディア化を視野に入れた異市場・異業種への参入がある。
 RHC等の地域通信事業者は、構築しつつある広帯域ネットワークの有効活用及びそのための投資の回収を目指し、サービスの多様化に向けた事業展開を図っており、双方向・大容量の映像伝送サービス、ひいては、そのコンテンツにまで触手を伸ばしている。一方、ケーブルテレビ事業者は、大規模MSOを中心に、光ファイバ化等ネットワークを置換しつつあり、州の規制が緩和しつつあること等を踏まえ、通信サービスを含む双方向・大容量のサービスの提供を目指している。すなわち、双方向・大容量の映像伝送サービス等の提供において、地域通信事業者とケーブルテレビ事業者とが競い合う形になっている。
 また、RHCが、他社営業エリアでのケーブルテレビ事業や携帯・自動車電話事業の買収等を進めた結果、RHC相互間という新たな競争がもたらされている。
 

(2) シームレスネットワークへの指向


 第二には、シームレスネットワークへの指向がある。長距離通信事業者は、国内通信市場で、高品質のサービス又はアクセスチャージの負担軽減等を目指し、地域通信事業者以外の加入者アクセス手段の確保を画策しており、CAPの活用や自社による地域通信網構築等の動きがある。このような動きに対し、RHC側は対抗策として長距離参入申請等を行うというように、長距離/地域の相互参入の動きを引き起こしている。
 また、長距離通信事業者が携帯・自動車電話会社の買収やPCS免許の競争入札への応札等、そのブランド名を利用して、移動通信市場へも参入する動きがあることに対抗し、RHC系携帯・自動車電話会社の再編という動きもある。
 さらに、長距離通信事業者は、特定の外国通信事業者との連携を強めることにより、世界規模で高品質の国際通信サービスの提供を目指している。この場合、主要3社が、相互に対抗する形で、それぞれ別個の欧州等の通信事業者と提携を行っており、少数の大規模事業者グループ間で、大口ユーザーである多国籍企業等の囲い込みをめぐる競争が生じている。
 

(3) 情報通信産業における競争、提携等の動向の特徴


 米国の情報通信産業における競争、提携等の動向の特徴は、第一に、各事業者の取組として、自社の持てる資源を補うため他社の買収や資本参加、また、他社との提携等が盛んに行われ、非常にダイナミックな動向になっていることである。取り分け、1984年の分割により誕生したAT&Tと7社のRHCは、相互に競い合う中で、電話にとどまらず、移動体通信、ケーブルテレビ、コンテンツ等広範な分野を舞台とし、他市場等への参入や提携の動きが顕著である。第二に、ある事業において競争相手となっている他社が、別の事業分野では提携相手になることもあるなどフレキシブルな対応が採られていることである。

 

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