平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

(3)  情報通信産業の設備投資の動向

 ここでは、電気通信業と放送業における設備投資の動向を見るとともに、米国との比較により、我が国の実態を明らかにする。また、電気、道路、ガス、水道、鉄道等、他の公益的分野における設備投資と比較する。 

ア 情報通信産業の設備投資における我が国の現状

 我が国の電気通信業及び放送業における設備投資を見ると、6年度は伸び率はやや鈍化したものの年々着実に増加を続け、6年度は3兆 945億円(対前年度比 0.3%増)に達し、昭和63年度の1.39倍で、この期間の年平均伸び率は 5.7%であった。また、全産業の設備投資(法人企業動向調査(経済企画庁))に占める割合でも、昭和63年度は 6.2%であったのものが、6年度は 7.6 %に拡大している。
 設備投資の内訳を見ると、第一種電気通信事業者が全体の86.3%を占め、その設備投資額は2兆 6,698億円であり、昭和63年度の1.36倍(昭和63年度から6年度の間の年平均伸び率 5.2%)となった。第一種電気通信事業者については、今後も携帯・自動車電話サービスの需要増による設備投資やPHS事業開始に伴う設備投資により大幅な増加が見込まれる。また、第二種電気通信事業者の設備投資額は 2,132億円であり、昭和63年度の1.55倍(同 8.1%)となった。
 放送事業者のうち、民放事業者の設備投資額は 1,097億円であり、昭和63年度の1.92倍(同22.9 %)となった。6年度の設備投資が5年度に比べ大きく減少(17.0%減)したのは、5年度に、ある大手事業者が本社社屋の建替えのための多額の設備投資を終了したことが大きく影響していると考えられる。また、NHKの設備投資額は 596億円であり、昭和63年度の1.37倍(同 6.4%)となった。さらに、ケーブルテレビの設備投資額は 422億円であり、昭和63年度の2.60倍(同29.7%)となった。5年度の設備投資額に比べ大きく減少(38.8%減)したが、今後多数の企業がケーブルテレビ事業への新規参入を計画し、また、加入需要も高まっていることを考えると、設備投資は増加していくものと予想される(第3-2-24図参照)。

イ 情報通信産業の設備投資における日米比較

 情報通信産業のうち電気通信業における設備投資について日米比較(注44)を行うと、国民一人当たりの設備投資額は、我が国では 2,001円であるのに対して、米国では 3,728円となっており、米国は我が国の1.86倍と日米間で大きな格差が見られる。

ウ 他の公益的分野における設備投資との比較

 情報通信分野として電気通信業と放送業における設備投資と他の公益的分野に対する設備投資と比較すると、5年度の総額では、ここで調査した分野の中で情報通信は、道路(10兆 8,031億円)、電力(4兆 9,340億円)、下水道(3兆 5,340億円)に次いで4番目(3兆 863億円)となっているが、その額は道路の3分の1以下であり、電力の6割強に過ぎない(第3-2-25図参照)。
 さらに、投資主体別に見ると、情報通信分野では、ほとんどが民間企業による投資で、その額は3兆 275億円(全体の98.1%)であり、公的企業では、NHKによる投資の 588億円(同 1.9%)に過ぎない。他の公益的分野について、電力、ガス、鉄道の投資主体は民間企業であり、道路、上下水道は国あるいは地方公共団体である。



第3-2-24図 情報通信産業の設備投資の推移

第3-2-25図 情報通信及び他の公益的分野の設備投資の推移

 

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