平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

(3)  情報通信技術の研究開発における我が国の国際競争力

 世界的な情報通信基盤の整備に向けて合意がなされるなど、情報通信の重要性に対する認識は世界的にも高まっている。こうした状況の中、日米欧、アジアNIEs等においても、21世紀を担うリーディング産業である情報通信産業の基盤となる情報通信技術の革新は、国際競争力の強化に資するとして積極的に研究開発を推進している。また、情報通信分野におけるデファクトスタンダードをめぐる競争は、ますます激化する傾向にあり、今後の研究開発においては、1社ではなく企業間の国際的な連携が不可欠となってきている。
 ここでは、国際競争力の観点から、我が国の情報通信技術の研究開発の現状を概観する。 

ア 研究開発リソースに見る比較

 ここでは、我が国と米国の状況について、研究費、研究者数の側面から比較する。
 研究費について見ると、情報通信分野の研究費は、我が国の約 201億ドルに対して、米国は約 351億ドルとなっている。また、科学技術全体の研究費に占める割合でも、我が国の16.3%に対して、米国は21.8%となっており、情報通信の研究費の絶対額においても、全体の中の比率においても米国の方が高い水準にある。
 また、研究者数について見ると、情報通信分野の研究者数は、我が国の約7万8千人に対して、米国は約21万8千人となっている。また、科学技術全体の研究者数に占める割合でも、我が国の14.4%に対して、米国は23.0%となっており、研究費同様、米国の方が高い水準にあるといえる(第3-2-33図参照)。

イ 企業の研究開発力の比較

 科学技術庁の「民間企業の研究活動に関する調査」によれば、情報通信分野を含む日本企業の研究開発力は、3年前と比較すると、欧米企業に比べ相対的に低下傾向にあると回答した企業が増加している。全般的に欧米の評価の向上が見られるが、なかでも、通信・電子・電気計測器工業において米国の評価の向上が顕著であり、1994年には、米国優位へと評価が逆転した(第3-2-34図参照)。


第3-2-33図 日米の情報通信分野の研究費、研究者数の比較

第3-2-34図 企業の研究開発力の日米・日欧比較

 

(2) 情報通信技術の先進的な研究開発事例 に戻る 第3章第2節4 経済発展をもたらすリーディング産業としての情報通信産業 に進む