平成9年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第1章 平成8年情報通信の現況

2 経営動向等

 (1) 電気通信事業者

ア 電気通信事業者の経営動向
 「法人企業統計年報」(大蔵省)によると、7年度の営業収益(売上高)は、全産業については対前年度比3.2%増、製造業については同1.5%増、非製造業については、同3.8%増である中で、郵政省の調査によれば、7年度の第一種電気通信事業者全体の電気通信事業営業収益は8兆8,060億円(対年前年度比12.1%増)であった。その内訳を見ると、国内第一種電気通信事業者は8兆4,612億円(同12.6%増)、国際第一種電気通信事業者は3,448億円(同1.2%増)であった。昭和61年度以降の対前年度比の推移を見ると、第一種電気通信事業者の電気通信事業営業収益は順調な伸びであった(第1-2-3図参照)。
 なお、7年度の第一種電気通信事業者の経常利益は3,675億円(対前年度比71.4%増)であり、国内第一種電気通信事業者は3,253億円(同81.1%増)、国際第一種電気通信事業者は422億円(同21.6%増)であった。
(ア) NTT等
 7年度のNTTの経営状況について見ると、総収益は6兆3,108億円(対前年度比5.9%増)、営業収益は6兆2,347億円(同6.1%増)、総費用は5兆9,818億円(同2.9%増)、営業費用は5兆7,936億円(同2.9%増)であり、経常利益は3,289億円(同130.6%増)で大幅な増益となった(第1-2-4表参照)。これは、電話収入における7年2月の基本料金値上げと移動系の相互接続収入の増加等による影響が大きいと考えられる。
 電話役務営業損益のうち加入電話の状況を見ると、基本料の営業利益は200億円で前年の赤字から黒字に転じた。市外通話の営業利益は減少したが、市内通話の営業利益は増加した。また、公衆電話の営業利益は前年度とほぼ同額の利益であった(第1-2-5表参照)。
 また、事業部制による経常損益を見ると、地域通信事業部は1,260億円の利益であり、前年の損失から一転した。一方、長距離通信事業部は2,201億円の利益であった(第1-2-6表参照)。
 さらに、7年度の各地域通信事業部の経常損益について見ると、東京、関東、東海、関西は、黒字額が大幅に増加している。その他の地域は赤字であるが、総じて損失額が減少している(第1-2-7表参照)。
 また、8年度上半期のNTTの経営状況について見ると、営業収益は3兆1,557億円(対前年同期比4.2%増)、営業費用は2兆9,103億円(同2.1%増)であり、経常利益は2,077億円(同63.9%増)と大きく増加している。営業収益全体に占める電話収入の割合を見ると76.8%と前年度より1.1ポイント減少している。
 一方、NTTDoCoMo等地域別9社の7年度の営業収益は1兆2,727億円(対前年度比53.4%増)、営業費用は1兆1,655億円(同51.8%増)であり、経常利益は738億円(同114.6%増)であった。
(イ) 長距離系新第一種電気通信事業者
 7年度の長距離系新第一種電気通信事業者3社全体の経営状況について見ると、営業収益は9,098億円(対前年度比18.7%増)、営業費用は8,054億円(同13.8%増)であり、経常利益は938億円(同183.9%増)と前年度に引き続き大きな伸びを示した。なお、長距離系新第一種電気通信事業者3社は、NTT地域網への接続料金として2,795億円をNTTへ支払っている。
 各社別に経営状況を見ると、第二電電(株)の営業収益は4,702億円(対前年度比24.5%増)、営業費用は4,103億円(同20.0%増)、経常利益は576億円(同96.6%増)であった。日本テレコム(株)の営業収益は3,355億円(同10.1%増)、営業費用は2,918億円(同6.6%増)、経常利益は419億円(同130.0%増)であった。また、日本高速通信(株)の営業収益は、1,039億円(同24.2%増)、営業費用は1,031億円(同12.5%増)、経常損失は57億円(同損失額60.5%減)であった(第1-2-8表参照)。
 第二電電(株)及び日本テレコム(株)の増益及び日本高速通信(株)の経常損失減少は、各社とも各種新サービス、割引サービスの開発・提供、料金値下げによる利用増及び接続費用の改定によるNTTへの支払額の減少によるものと考えられる。
 また、8年度上半期の長距離系新第一種電気通信事業者3社全体の経営状況について見ると、営業収益は5,291億円(対前年同期比20.6%増)、営業費用は4,677億円(同22.6%増)、経常利益は576億円(同12.6%増)であった。
(ウ) 地域系新第一種電気通信事業者
 7年度の地域系新第一種電気通信事業者13社全体の経営状況について見ると、営業収益は1,215億円(対前年度比17.8%増)、営業費用は992億円(同20.2%増)であり、経常利益は108億円(同12.5%増)であった(第1-2-9表参照)。
(エ) 衛星系新第一種電気通信事業者
 7年度の衛星系新第一種電気通信事業者4社全体の経営状況について見ると、営業収益は460億円(対前年度比43.7%増)、営業費用は414億円(同30.5%増)であり、経常利益は6億円(同損失額42億円減)であった(第1-2-9表参照)。
(オ) 新携帯・自動車電話事業者
 7年度の新携帯・自動車電話事業者16社全体の経営状況について見ると、営業収益は8,379億円(対前年度比88.3%増)、営業費用は8,824億円(同91.2%増)であり、経常損失は759億円(対前年度比59.4%増)であった(第1-2-9表参照)。
(カ) PHS事業者
 7年度のPHS事業者28社全体の経営状況について見ると、営業収益は1,383億円、営業費用は2,527億円であり、経常損失は1,149億円であった(第1-2-9表参照)。
(キ) 新無線呼出し事業者
 7年度の新無線呼出し事業者31社全体の経営状況について見ると、営業収益は1,248億円(対前年度比16.7%増)、営業費用は1,093億円(同19.3%増)であり、経常利益は139億円(同0.3%減)であった(第1-2-9表参照)。
(ク) KDD
 7年度のKDDの経営状況について見ると、総収入は2,608億円(対前年度比0.3%増)、営業収益は2,483億円(同0.2%増)、総費用は2,296億円(同1.8%減)、営業費用は2,246億円(同2.1%減)、経常利益は312億円(同18.6%増)であった。
 営業収益の内訳をサービス別に前年度と比較すると、データ伝送収入が対前年度比37.5%増となっているが、営業収益の主力である電話収入、テレックス収入、電報収入、専用収入及びデータ通信収入は減少している。
 また、8年度上半期の営業収益は1,730億円(対前年同期比30.3%増)、営業費用は1,560億円(同35.6%増)、経常利益は144億円(同18.6%減)であった(第1-2-10表参照)。
(ケ) 新国際第一種電気通信事業者
 7年度の新国際第一種電気通信事業者2社全体の経営状況について見ると、営業収益は1,006億円(対前年度比4.0%増)、営業費用は836億円(同1.8%増)であり、経常利益は110億円(同32.5%増)であった(第1-2-9表参照)。
 各社別に経営状況を見ると、ITJの営業収益は483億円(対前年度比4.8%増)、営業費用は404億円(同1.8%増)、経常利益は44億円(同41.9%増)であった。一方、IDCの営業収益は523億円(対前年度比3.4%増)、営業費用は431億円(同1.9%増)、経常利益は66億円(同26.9%増)であった。
(コ) 第二種電気通信事業者
 7年度の第二種電気通信事業者全体の経営状況について見ると、営業収益は7年度推計で1兆5,787億円(対前年度比10.2%減)と前年度から減少している。この内訳を見ると、特別第二種電気通信事業者の営業収益が8,162億円(推計、対前年度比17.7%減)、一般第二種電気通信事業者の営業収益が8,585億円(推計、同12.1%増)となっている(第1-2-11図参照)。
イ 電気通信事業者の設備投資動向
 8年3月及び10月に郵政省が実施した「通信産業設備投資等実態調査(注4)」によると、電気通信事業者全体の7年度の設備投資実積額は3兆5,052億円(対前年度比21.8%増)、8年度の設備投資修正計画額は4兆5,641億円(対前年度実績額比30.2%増)となっている(第1-2-12表参照)。なお、「法人企業動向調査報告」(経済企画庁、8年12月実施)によると、8年度の設備投資修正計画額は、全産業が46兆1,993億円(対前年度実績額比11.2%増)、製造業が14兆9,290億円(同11.9%増)、非製造業が31兆2,704億円(同10.9%増)となっている(第1-2-13図参照)。
(ア) 第一種電気通信事業者
 7年度の第一種電気通信事業者全体の設備投資実績額の内訳を見ると、NTTが1兆9,890億円(対前年度実績額比0.5%減)、NTTDoCoMo等地域別9社の合計が4,201億円(同38.3%増)、KDDが373億円(同19.1%減)、新第一種電気通信事業者が8,619億円(同83.8%増)であった。新第一種電気通信事業者の設備投資額は、第一種電気通信事業者全体の26.0%を占め、前年度より8.5ポイント増加している。
 また、8年度の第一種電気通信事業者全体の設備投資修正計画額の内訳を見ると、NTTが1兆9,800億円(対前年度実績額比0.4%減)、NTTDoCoMo等地域別9社の合計が7,655億円(同82.2%増)、KDDが630億円(同68.8%増)、新第一種電気通信事業者が1兆4,890億円(同72.7%増)となっている。新第一種電気通信事業者の設備投資額は、第一種電気通信事業者全体の34.6%を占め、前年度実績額より8.6ポイント増加している。新第一種電気通信事業者の8年度の設備投資計画額が増加している理由は、携帯・自動車電話及びPHSのサービスエリア拡大、新サービスの開始等のためであると考えられる。
(イ) 第二種電気通信事業者
 7年度の第二種電気通信事業者の設備投資実績額は、特別第二種電気通信事業者が26社で1,709億円(対前年度比7.3%減)、一般第二種電気通信事業者が248社で258億円(同12.2%増)であった。
 8年度の設備投資修正計画額は、特別第二種電気通信事業者が26社で2,351億円(対前年度比37.6%増)、一般第二種電気通信事業者が248社で313億円(同21.2%増)となっている。

第1-2-3図 業種別営業収益の推移(第一種電気通信事業者の営業収益及び業種別営業収益の対前年度増減率)
第1-2-3図 業種別営業収益の推移(第一種電気通信事業者の営業収益及び業種別営業収益の対前年度増減率)(1)
第1-2-3図 業種別営業収益の推移(第一種電気通信事業者の営業収益及び業種別営業収益の対前年度増減率)(2)

第1-2-4表 NTTの経営状況
第1-2-4表 NTTの経営状況(1)

第1-2-5表 7年度NTTの電話役務損益明細票
第1-2-5表 7年度NTTの電話役務損益明細票

第1-2-6表 7年度のNTTの事業部制収支状況
第1-2-6表 7年度のNTTの事業部制収支状況

第1-2-7表 7年度NTTの各地域通信事業部の収支状況
第1-2-7表 7年度NTTの各地域通信事業部の収支状況

第1-2-8表 長距離系新第一種電気通信事業者の経営状況
第1-2-8表 長距離系新第一種電気通信事業者の経営状況

第1-2-9表 第一種電気通信事業者の経営状況
第1-2-9表 第一種電気通信事業者の経営状況

第1-2-10表 KDDの経営状況
第1-2-10表 KDDの経営状況

第1-2-11図 第二種電気通信事業者と他業種の営業収益対前年度増減率の比較
第1-2-11図 第二種電気通信事業者と他業種の営業収益対前年度増減率の比較(1)
第1-2-11図 第二種電気通信事業者と他業種の営業収益対前年度増減率の比較(2)

第1-2-12表 電気通信事業者の設備投資額
第1-2-12表 電気通信事業者の設備投資額

第1-2-13図 業種別設備投資額の推移(実績及び対前年度増減率)
第1-2-13図 業種別設備投資額の推移(実績及び対前年度増減率)(1)
第1-2-13図 業種別設備投資額の推移(実績及び対前年度増減率)(2)

 

 

(2) 放送事業者 に戻る (2) 放送事業者 に進む