平成9年版 通信白書

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第1章 平成8年情報通信の現況

(2) 電子決済、電子マネーの実態

 ここ数年のインターネットの普及と技術の進展により、世界中で電子決済、電子マネーに関連した実験プロジェクトやビジネスが始まっている。
ア 電子決済、電子マネー関連プロジェクトの類型
 現金の支払いを電子的に行う「電子決済」は、「小切手方式」・「クレジット方式」・「デビット方式」に分類され、暗号技術を活用して現金発行者の署名を付けた金額データである「電子マネー」は、価値を蓄積・流通する媒体から、「ICカード型」・「ネットワーク型」に分類される(第1-4-28図参照)。
イ 我が国の電子決済、電子マネー関連プロジェクト
 我が国における電子決済関連プロジェクトは、官庁系、企業系(注16)等いくつかのプロジェクトがあり、各方式ごとのプロジェクト数を見ると、最も多いのはクレジット方式で全体の8割近くを占めている。次いでデビット方式、銀行等が中心となる小切手方式と続いている(第1-4-28図参照)。
 現在、電子マネー実験と呼ばれるプロジェクトはいくつかあるが、従来から存在する支払い手段のアクセス方法を電子化しただけのものであり、「匿名性」、「転々流通性」等現金の保有する機能を持っている、いわゆる「電子マネー」の実験は行われていない。
 また、クレジット方式の各実験プロジェクトが採用している決済規格・暗号技術について見ると、公開しているプロジェクトの中では、海外の規格や技術を利用しているものが多い。
ウ 海外の電子決済、電子マネー関連プロジェクト
 海外においては、様々な電子決済、電子マネー関連プロジェクトが行われている。
 小切手方式は、既存の決済の仕組みにネットワークを追加した形式で、それほど仕組みや技術も複雑でないサービスについては実用段階に入っている。クレジットカードの電子決済版にあたるクレジット方式では、クレジット業界で圧倒的なシェアを誇る大手クレジット会社が、複数の銀行や店舗が組織的に参加できる規格SETを発表し、この方式の主流となっている。デビット方式では、米国のある大学内の実験や様々な企業が実験を行っている。
 また、電子マネーのICカード型については、各国の行政機関や銀行がいくつかの実験を開始しており、いくつかは実用段階に入っている。一方、ネットワーク型については、主に米国の銀行が実験を行っている。

インターネットショッピング
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第1-4-28図 電子決済、電子マネー関連プロジェクトの動向
第1-4-28図 電子決済、電子マネー関連プロジェクトの動向

 

 

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