平成9年版 通信白書

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第1章 平成8年情報通信の現況

3 国民生活の情報化

 (1) 家庭の情報化

ア 指標で見る家庭の情報化
 我が国の家庭における情報化の進展を、情報を入手するための手段の多様化及び情報を入手するために支出した費用の二つの側面からとらえることとし、それぞれについて情報装備指標及び情報支出指標を作成した(第1-4-37図参照)(各指標の内容については付表4参照)。
(ア) 情報装備指標
 情報装備指標は、家庭における様々な情報通信機器の保有数と情報通信ネットワークへの加入率を指数化して、その推移を表したものである。2年を100とした7年の指数は139.8(対前年比12.8ポイント増)となっており、家庭における情報装備が大きく伸びていることが分かる。
 これを指標を構成する項目ごとに見ると、機器保有状況では、衛星放送受信装置、パソコン、ファクシミリ、カーナビゲーション等の伸びが大きくなっており、指数は116.4(対前年比1.6ポイント増)となっている。一方、ネットワークへの加入率では、CSアナログテレビ放送、ケーブルテレビ、携帯・自動車電話、パソコン通信等が増加しており、指数は163.2(対前年比24.1ポイント増)となっている。このように、ネットワーク加入率の伸びの大きさが情報装備指標の伸びの要因となっていることが分かる。
(イ) 情報支出指標
 情報支出指標は、家計消費支出における情報通信関連支出の推移を表すものであり、情報通信機器の購入、情報通信ネットワークへの加入・継続及び情報ソフトの購入に係る名目支出を、品目ごとの消費者物価指数で除し、指標化したものである。2年を100とした7年の指数は110.4(対前年比3.9ポイント増)となっており、情報通信関連支出は大きく伸びている。
 これを指標を構成する三つの項目ごとに見ると、通信機器、パソコン(基本ソフトを含む。)・ワープロ等が増加している情報通信機器類では、指数は126.8(対前年比15.8ポイント増)、電話が増加している情報ネットワークでは、指数は114.7(対前年比3.2ポイント増)といずれも近年増加傾向となっている一方、パッケージ型情報ソフトでは、雑誌・週刊誌等が増加しているものの、指数は93.2(対前年比2.9ポイント減)となっており、6年に引き続き減少傾向である。
イ 収入弾性値から見る家庭の情報化
 家計における収入と情報通信関連支出との関係を見るため、昭和46年から7年までの期間の家計支出各項目について、支出の収入弾性値(収入が1%増加した時の支出の増加率)の比較を行った(第1-4-38図参照)。
 情報通信関連財支出及び情報通信関連サービス支出が他の家計支出項目に比べ高くなっている一方、新聞、雑誌、書籍等のいわゆるパッケージ型情報ソフトが含まれる「教養・娯楽」の項目が低くなっている。このことから、家計収入の増加に伴い、家庭における情報通信の利用による情報化が著しく進展していることがうかがわれるほか、今後の所得の増加に対し、情報通信関連財及び情報通信関連サービス支出はその増加以上の伸びを見せる可能性があることが分かる。
ウ 新しい情報通信機器及び情報通信サービスの普及状況
 家庭における新しい情報通信の利用状況を見るため、最近利用が伸びている情報通信機器及び情報通信サービスの2年から8年までの期間の普及状況について、郵政省の「通信利用動向調査(世帯調査)」等に基づき概観すると、以下のとおりである。
(ア) 情報通信機器の普及状況
 情報通信機器の普及状況として世帯当たり情報通信機器の保有率について見ると、各機器とも増加傾向であり、8年においては携帯電話が24.9%(対前年比14.3ポイント増)、PHSが7.8%(対前年比7.5ポイント増)、パソコンが22.3%(対前年比6.0ポイント増)、ファクシミリが20.7%(対前年比4.6ポイント増)となっており、特に伸びが大きくなっている(第1-4-39図参照)。
(イ) 情報通信サービスの普及状況
 家庭におけるパソコン端末の保有の着実な増加につれ、世帯当たりパソコン通信利用率及び今後の利用意向も近年増加の傾向にある(第1-4-40図参照)。
 また、8年においては初めてインターネットの利用状況についての調査が行われているが、「利用したことがある」のは回答者全体の7.5%、「自宅で利用している」のは回答者全体の3.3%といったように、調査時点における利用率はまだ低いものとなっている。しかし、今後の自宅での利用意向では、「1年以内に利用したい」及び「いずれは利用したい」とする回答者の割合は32.6%となっており、調査時点での自宅利用者の割合の約10倍となっている。
 (なお、放送サービスの普及状況については、3章5節を参照。)
(ウ) 通信料金への支出
 住宅用加入電話料金及び移動通信料金への支出額の推移を見るため、6年から8年の世帯における月額平均支出額を算出した(第1-4-41図参照)。
 電話料金、移動通信料金及び情報通信への支出の合計を見ると、利用世帯率の拡大から、全世帯の平均支出額は6年から8年にかけて増加している。
エ 住宅の情報化
 このような家庭における情報化の急速な進展、将来的な実現が期待される自治体のオンライン住民サービス、遠隔教育といった地域情報化サービス等の今後の情報通信サービスの動向、高齢化の進展といった家庭生活を取り巻く環境の変化を背景として、住宅内における高度情報化への取組が必要とされている。そのためには、住宅内における各種情報通信サービスへのアクセスへの簡便性が確保される必要がある。
 そこで郵政省、通商産業省、建設省共管の住宅情報化推進協議会は、関係省庁と連携を取りながら、住宅における各種情報通信サービスの利用機会の促進のための基盤設備である「住宅情報化配線」の普及を進めている(第1-4-42図参照)。
 住宅情報化配線では、住宅内の各居室に設置される情報コンセントを通じ、テレビ、有線放送用の同軸ケーブル、電話・ファクシミリ等の電話回線を利用したサービス、ISDN回線等について、ソケット等を差し込むだけで簡単に利用できるようになっている。
 郵政省では、今後のマルチメディアの普及に対応し、一つのジャックですべての情報通信端末からネットワークの利用を可能とする「マルチメディアホームリンクシステム」の開発に関する検討を行っている。

第1-4-37図 家庭の情報化指標
第1-4-37図 家庭の情報化指標(1)
第1-4-37図 家庭の情報化指標(2)

第1-4-38図 家計の各収支における収入弾性値
第1-4-38図 家計の各収支における収入弾性値

第1-4-39図 世帯における主な情報通信機器類の保有率の推移
第1-4-39図 世帯における主な情報通信機器類の保有率の推移(1)
第1-4-39図 世帯における主な情報通信機器類の保有率の推移(2)

第1-4-40図 世帯におけるパソコン通信の利用率及び利用意向の推移
第1-4-40図 世帯におけるパソコン通信の利用率及び利用意向の推移

第1-4-41図 世帯における情報通信への月額平均支出の推移
第1-4-41図 世帯における情報通信への月額平均支出の推移(1)
第1-4-41図 世帯における情報通信への月額平均支出の推移(2)

 

 

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