平成9年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

第2節 高度情報通信社会の構築に向けた情報通信政策の推進

 1 21世紀の高度情報通信社会の構築に向けた情報通信社会基盤の整備

  (1) 情報通信高度化中期計画の策定

 情報通信の高度化は、7年2月、内閣の高度情報通信社会推進本部において決定された「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」に示されているとおり、経済フロンティアの拡大、国土の均衡ある発展の促進及び真のゆとりと豊かさの実感できる国民生活の実現を可能とするものとして期待されている。また、7年12月に閣議決定された「構造改革のための経済社会計画」においても、情報通信の高度化の重要性と高度情報通信社会の早期構築を目指す必要性が記述されている。
 このような状況を踏まえ、郵政省では、8年1月、電気通信審議会に対し、高度情報通信社会の構築に向けた2000年までの情報通信高度化の推進目標と、その実現のために講ずべき推進方策について諮問を行い、8年5月、「高度情報通信社会構築に向けた情報通信高度化目標及び推進方策-西暦2000年までの情報通信高度化中期計画-」と題する答申を受けた。その概要は次のとおりである(第2-2-1図参照)。
ア 高度情報通信社会への2000年指標
 2000年までに達成することが可能で、かつ、その実現に努力すべき社会経済の将来展望として、情報通信高度化が平均経済成長率へ0.3%程度寄与、情報通信産業の雇用が1994年から2000年に約53万人増加、テレワーク人口が約350万人に増大等の指標を設定する。
イ 情報通信高度化目標及び推進方策
(ア) アプリケーションの開発・普及
 多様なアプリケーションの開発・普及のためには、先進事例に身近に触れる機会を確保することが有効であり、2000年までには少なくとも全国地方自治体の概ね1割である300か所で公共アプリケーションの先行整備を行うことを目標とする。また、安全性・信頼性、普遍性、共用性・融合性といった各種のアプリケーションに共通する基盤的要素(アプリケーションインフラ)を総合的に整備するため、関連技術研究開発成果の実証プロジェクトを推進すべきである。
 さらに、ネットワーク環境・端末環境の急速な大容量化等の変化を踏まえ、コンテント/放送ソフトの高度化を図るため、魅力あるコンテントビジネス環境の整備、視聴覚障害者向け放送サービスの拡充を図るべきである。
(イ) ネットワークインフラの高度化
 高速・広帯域化、デジタル化の推進によるネットワークインフラのシームレスな接続を実現することにより、ユーザーの利便性を向上させるべきである。
 具体的には、2000年までに加入者系光ファイバ網の整備を人口カバレッジ20%とするために公的支援を行うとともに、光ファイバ網とシームレスなマルチメディア無線通信を実現するため、高速無線アクセス(25-30Mbps)、超高速無線LAN(156Mbps)を開発すべきである。
 また、2000年から2005年までに地上デジタル放送を導入するため、伝搬特性の調査分析等を行う必要がある。
(ウ) 情報通信技術の研究開発
 上述のアプリケーション、ネットワークインフラ高度化目標を達成するため、2000年までに「マルチメディア情報コンセント」、「次世代インターネット」、「マルチメディア移動アクセス」等の研究開発、新技術シーズを創出する基礎的・先端的研究開発を推進すべきである。このため、国の研究開発資金の拡充と柔軟な活用、委託研究・公募研究等の拡充、分散型研究協力体制として「マルチメディア・バーチャル・ラボ」の早期構築等を図るべきである。
(エ) 情報通信ニュービジネスの振興
 情報通信ニュービジネスの創出・育成は我が国の経済構造の改革に寄与するものとして期待されているものの、資金調達や人材確保等、その起業環境が十分に整備されていないことから、国としても、テレコム投資事業組合の設立支援、成功払い報酬制度の活用促進等の施策を通じ、民間の主体的な取組を補完する必要がある。
(オ) 全世界的な情報通信社会の構築
 世界的な情報通信基盤の構築のため、多くの国・地域、国際機関で具体的行動が開始されている。我が国もその国際的地位に応じた役割を果たすべく、国際共同プロジェクトを推進するとともに、マルチメディア活用等による人材育成・技術移転や放送番組国際共同制作基盤の構築等を通じた開発途上国の情報通信基盤整備の支援を推進すべきである。

第2-2-1表 2000年の高度化目標

 

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