平成9年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(3)高度道路交通システム(ITS)へ

 ITSは、最先端の情報通信技術等を用いて人と道路と車両とを一体のシステムとして構築することにより、ナビゲーションシステムの高度化、有料道路等の自動料金収受システムの確立、安全運転の支援、交通管理の最適化、道路管理の効率化等を図るシステムである。
 8年7月、「高度道路交通システム(ITS)推進に関する全体構想」が、関係5省庁(郵政省、警察庁、通商産業省、運輸省及び建設省)によって取りまとめられ、ITSが目標とする機能、開発・展開に係る基本的な考え方等が今後20年間の長期ビジョンとして示された。これを受けて、各省庁はITSにかかわる施策に積極的に取り組んでいる(第2-3-5図参照)。
ア VICSサービスへの取組
 VICSは、電波ビーコン、光ビーコン及びFM多重放送の3メディアを用い、渋滞情報、交通規制情報等の道路交通情報を移動中の車両に対してリアルタイムに提供するシステムである。その運営主体として、7年7月に、(財)道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)が設立され、8年4月、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県及び東名・名神高速道路等においてサービスを開始したのに続き、8年12月から大阪府においてサービスを開始した。また、9年4月からは愛知県及び全国の高速道路においてサービス開始予定である。
イ 情報通信技術の標準化への取組
(ア) 有料道路における自動料金収受システムの無線設備の技術基準策定
 高速道路等の料金所での渋滞緩和等のために、有料道路において自動車を停止することなく、料金収受を可能とする自動料金収受システムの導入が期待されており、9年3月、電気通信技術審議会において、これを実現するために無線通信部分の標準化に向けた答申が出されたところである。
(イ) 小電力ミリ波レーダーの技術基準策定
 自動車走行中の衝突防止等のために小電力のミリ波帯電波を用いて障害物を検知する小型レーダーについて、電気通信技術審議会において60GHz帯の周波数を利用するものについて、その技術基準が策定され、関係省令の制度化が7年10月に実施されたのに続き、60GHz帯以外の新たな周波数についても審議が進められている。
ウ ITSモデル地区実験構想
 郵政省をはじめ警察庁、通商産業省、運輸省、建設省の関係5省庁は連携して調査研究会を開催し、本システムの早期実現とその有効性の評価を行うために、モデル地区で行うべき具体的な実験内容の検討等のフィージビリティスタディ(必要な事前調査)を行うこととしている。
エ カーマルチメディアの利用と安全性の検討
 携帯・自動車電話を含めた自動車通信に関して、今後の需要が見込まれる自動車通信システム像を一層具体化するとともに、その安全な利用・操作方法等について調査研究を行い、今後の電波行政施策の展開に資することを目的として、8年9月から、「自動車と電波利用の在り方に関する調査研究会」を開催しており、9年5月を目途に検討結果を取りまとめることとしている。

第2-3-5図 情報通信技術を利用するITSの例(安全運転の支援)
第2-3-5図 情報通信技術を利用するITSの例(安全運転の支援)

 

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