平成9年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第2章 情報通信政策の動向

(3)ITUの動向

ア 第1回世界電気通信政策フォーラムの開催
 世界電気通信政策フォーラムの設置は、6年9月、京都において開催されたITU全権委員会議において、我が国の提案に基づき決定されたものである。
 第1回目となる本会合は、8年10月、スイスのジュネーヴにおいて「衛星によるグローバルな移動パーソナル通信」を議題とし、世界129か国の主管庁、13の国際機関のほか、GMPCSに係る電気通信事業者、電気通信機器製造業者等の多数の参加者を得て開催され、GMPCSの早期かつ円滑な実現に向けて各国の電気通信政策及び規制の調整を行う必要性について参加者の認識が一致した。
イ 年次理事会の動向
 8年6月、スイスのジュネーヴにおいて、年次理事会が開催された。
 ITUにおいては、世界的な電気通信事業の民営化の進行とこれに伴う主管庁の役割の変化、相次ぐITU以外の国際標準化機関の設置等、ITUを取り巻く急速な環境の変化に対応するため、ITUの非主管庁メンバーの権利と義務の見直し及びITUの財政基盤の強化を目的として、これまで「レビュー委員会」及び「ITUの財政基盤強化のための非公式会合」において議論を進めてきた。今次理事会においては、両組織における議論を統合して継続するための新たな委員会である「ITU-2000」の設置が決定され、引き続き検討が進められることとなった。この検討結果は、9年次理事会において報告される予定である。
ウ ITU各部門の活動動向
(ア) ITU-T
 ITU-Tは、電気通信の技術、運用及び料金等の標準化に関する勧告を作成している。ITU-Tには世界電気通信標準化会議(WTSC)と14の研究委員会(SG)がある。
 最高意志決定機関であるWTSCは4年ごとに開催されることとなっており、8年10月には、第2回WTSC(WTSC-96)がスイスのジュネーヴにおいて開催された。本会合においては、各研究委員会ごとの新規及び改定勧告案及び次期研究会期の活動内容を決める約270の研究課題が承認された。
 また、新たにマルチメディアに関するSGを設立するとともに、標準化部門の新たな作業方法としてフォーカスグループ制度を導入することが決まった。
 さらに、第3研究委員会(SG3)を中心に研究が進められていた、いわゆる「コールバックサービス(注11)」については、本WTSCにおいて電話網に悪影響を与える方式のコールバックサービスを停止するように各国は国内法の範囲で合理的な措置がとられるべきであることなどを勧告する決議が採択された。
(イ) ITU-R
 ITU-Rは、無線通信の技術・運用等の問題の研究、勧告の作成、無線通信規則の改正、周波数の割当て、登録等を行っている。ITU-Rには、RA及びWRCの二つの会議があり、2年に1度開催されることとなっている。ITU-Rの総会であるRAは、無線通信研究委員会の構成等、ITU-Rの組織の決定、無線通信研究委員会の議長及び副議長の任命、作業方法の見直し、無線通信に関する研究課題及び勧告の承認を行っている。また、WRCは、電波利用に当たっての国際的な取決めである無線通信規則を改正するために開催される会議であり、国際的な周波数分配の決定、周波数及び静止衛星軌道の使用のための手続きの整備等を行っている。
 次回のRA及びWRCは9年10月に開催される予定である。
(ウ) ITU-D
 ITU-Dは、開発途上国に対する電気通信開発の促進のための技術協力等を担当しており、最高意志決定機関であるWTDCを、4年ごとに開催されるITU全権委員会議の間において開催することとなっている。WTDCの決議2に基づき、電気通信開発戦略・政策を扱う開発研究委員会1、技術問題を扱う開発研究委員会2が設置され、7年春から活動が開始されている。

 

(2)APTの動向 に戻る (4)OECD(ICCP委員会)の動向 に進む