平成9年版 通信白書

第3章 放送革命の幕開け

（2）生活様式の変革

　従来、視聴者にとって、放送とは限られたチャンネルの中から番組を視聴する「受動的視聴」を意味するものであった。ところが、放送のデジタル化に伴う本格的な多チャンネル放送の開始により、選択肢の幅が飛躍的に拡大したことや、好きな時間に視聴を行い得るサービスが登場したことから、今後は、自分の嗜好に合った専門的な番組を時間的な制約に合わせて選択する「能動的視聴」が可能となる。
　こうした変化に伴い、個々の視聴者は、相応の対価を支払うことにより、自らのライフスタイル・嗜好に合った放送サービスを選択していくことが予想される。
　また、視聴者にとっては、在宅しながら様々なサービスを受けられる可能性が広がることとなる。チャンネル数の増加は、教育、ショッピング及び生活情報等様々な分野のチャンネルが出現することを可能としている。このため、視聴者は放送を利用することにより、従来にも増して更に専門的な教育を受けたり、詳細なショッピング情報を得て自宅にいながら買い物とその決済も自動的に行えるなど、新たな消費環境が誕生し、その利便性は高まることとなるのである。
　このように、デジタル放送は、教育、娯楽等様々な面で、新しい文化を創り出す最前線としての役割を担うとともに、大きなビジネスチャンスをもたらすことが期待されている。