平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

(4)ケーブルテレビのデジタル化の推進

 ケーブルテレビは、広帯域・双方向のメディアであり、マルチメディア時代の情報通信基盤として、ケーブルテレビ電話、インターネット接続等多様なサービス(フルサービス)の提供が期待されている。ケーブルテレビのデジタル化は、アナログ方式に比べて、1)画質・音質の向上が見込めること、2)圧縮化技術を用いることによる多チャンネル化が可能であること、3)他のメディアとの親和性があること、4)多様なサービスの提供が可能であることなどの点で有利であり、その早期の導入のための研究開発が行われている。
 ア デジタルケーブルテレビ放送方式の策定
 デジタルケーブルテレビに適した情報圧縮方式及び伝送方式の選定については、6年6月から電気通信技術審議会において審議を進め、郵政省通信総合研究所のACTセンター及び実伝送路において実証実験を行い、8年5月、「デジタル有線テレビジョン放送方式の技術的条件」について答申を受けた。これを受け、郵政省では、ケーブルテレビにおいても、デジタル方式の導入を可能とし、その一層の多チャンネル化、高品質化等を図るため、8年12月、ケーブルテレビのデジタル方式の技術的条件を定める「有線テレビジョン放送法施行規則」の一部改正を行った。本方式の特徴については、次のとおりである。
[1] 衛星デジタル放送と同じ画像圧縮(MPEG-2)方式を用いることにより、通信衛星の1トランスポンダ(27MHz)のテレビジョン番組(4〜6番組)をケーブルテレビの1チャンネル(6MHz)で、そのまま伝送可能とする。
[2] アナログ方式のチャンネルを残したまま、既存のケーブルテレビ施設にデジタル方式を導入することができ、段階的なデジタル化が可能となる。
[3] デジタル放送の国際的展開を促進するため、国際標準方式を採用する。
 イ マルチメディア時代におけるケーブルテレビシステムに関する検討
 近年、ケーブル回線を利用して、従来のテレビジョン放送だけでなく、その広帯域な伝送路と双方向機能を活用したインターネット接続、ケーブルテレビ電話、パソコン通信、テレビゲーム等の提供、オンデマンドの映画、PHS/C(注20)等、様々なサービス(フルサービス)への要求が高まっている。これらのサービスを円滑に導入するためには、1)需要増に対応した上り・下り用周波数の確保、2)互換性・相互接続性等の向上、3)高い品質及び信頼性の確保及び4)ケーブルテレビシステムの低廉化が求められている。
 そのため、郵政省では、7年10月から「マルチメディア時代におけるケーブルテレビシステムに関する調査研究会」を開催している。本研究会では、ケーブルテレビの現状及び利用動向(周波数利用状況、要素技術・システム技術)を踏まえ、マルチメディア時代において、導入の目標とすべき望ましいモデル(上り・下りの周波数配分等)について検討を行っており、9年3月に最終報告が行われる予定である。
 ウ ケーブルテレビのフルサービス化のための実験
 (ア) 通信・放送機構目黒リサーチセンターにおける実験
 情報通信インフラとしてのケーブルテレビ網の整備を促進するとともに、ニュービジネスの創出による内需拡大への貢献を図ることを目的として、通信・放送機構目黒リサーチセンターにおいて、広域ケーブルテレビ網を使った通信・放送融合サービスを提供するために必要な伝送技術の開発を行っている。本センターでは、東京、横浜、甲府のケーブルテレビ施設を利用し、ケーブルテレビ電話、ニア・ビデオ・オン・デマンド、映像データの広域デジタル伝送等の広域ネットワーク実験を行っている。
 (イ) フルサービス・ネット委員会
 ケーブルテレビのフルサービス化に向けたアプリケーション開発とネットワーク化を進めるため、6年5月に「フルサービス・ネット委員会」が(社)日本ケーブルテレビ連盟内のケーブルテレビ協議会に設置された。8年12月時点において、95団体が参加し、ケーブルテレビ電話、インターネット接続、在宅健康管理システム等22の実験が実施されている。このほか、「次世代ネットワーク研究会」及び「関西マルチメディアサービス研究会」のほか、22のグループにおいて、インターネット接続等の実験が行われている。
 (ウ) ACTセンターにおける実験
 郵政省通信総合研究所に設置されたACTセンター(統合デジタルCATV標準化試験施設)において、ケーブルテレビのフルサービス化に向けた新たなシステム開発を行うための先端的ケーブルテレビ実験施設の整備を行っており、8年度においても、光伝送方式、デジタル伝送方式の実証実験等、各種の実験が行われている。

 

 

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