平成9年版 通信白書

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第3章 放送革命の幕開け

(2)新しい放送サービスの進展

 ア 衛星放送におけるデータ放送
 衛星放送におけるデータ放送は、全国一斉に送信できる衛星放送波を用いて、パソコン、テレビ受信機、ファクシミリ等の端末に各種データを高速かつ安価に配信するサービスであり、BSにおけるデータ多重放送については、6年7月に関係省令が改正された後、7年4月から放送が開始されている。また、CS(アナログ)におけるデータ多重放送については、7年3月に関係省令が改正されている。
 また、CSデジタル放送の開始に伴い、CS(デジタル)におけるデータ放送も、8年2月の電波監理審議会の答申を受けて8年3月に制度化され、8年6月には、日本デジタル放送サービス(株)が番組検索サービス(EPG)を開始している。
 衛星データ放送を活用した多様な放送サービスの事業化を可能とするためには、多様な受信器に対応できる送信方式が不可欠である。このため、通信・放送機構が、多様な情報機器での受信を可能とする衛星データ放送の送信方式の研究開発を行っている。8年度においては、送信系、受信系、運用系に係る実証実験を実施し、放送のための共通基盤ソフトの研究開発を行った。
 イ 地上データ多重放送
 地上系テレビジョン放送の垂直帰線消去期間を利用した地上データ多重放送(VBI方式)については、8年4月に実用化のための制度改正が行われた。
 この具体的なサービス事例としての電子新聞放送については、郵政省において7年10月から「電子新聞放送の将来動向等の調査に関する連絡会」を開催し、その円滑な導入のために考慮すべき事項等の調査を行ってきたが、8年6月に最終報告が取りまとめられた。それによれば、電子新聞の意義として、マルチメディア時代に対応した新聞情報の伝達手段の多様化及び紙資源の節約による環境の保護への貢献を挙げた上で、今後の普及のための課題として、1)サービス・イメージの明確化、2)利用者利便の確保、3)普及環境の整備を挙げ、その将来展望の明確化を図っている。
 なお、テレビジョン放送の音声副搬送波を利用した地上データ多重放送の技術的条件については、8年11月、電気通信技術審議会から一部答申を受け、実用化のための制度改正が9年春にも行われる予定となっている。
 ウ FM放送の多様化
 (ア) コミュニティ放送
 市町村内の一部の地域において放送を行うコミュニティ放送は、生活情報、行政情報、災害情報及び福祉医療情報等、地域に密着した情報を日常的に提供するメディアとして地域住民に親しまれており、その開局が進んでいる。また、いったん災害が発生した場合には、被災者向けのきめ細やかな災害関連情報の伝達に大きな役割が期待されるなど、地域情報の発信拠点として、豊かで安全な街づくりに貢献できることから、郵政省ではその全国展開を一層促進することとしている。
 (イ) 外国語放送
 在日外国人の増加や、日本の国際化に伴う外国語による情報提供ニーズの高まりを背景に、FMによる外国語放送が7年2月に制度化された。8年度においては、4月に東京都の特別区等の地区においてエフエムインターウェーブ(株)が開局した。また、福岡市(福岡県)等の地区において、8年11月に予備免許を受けた(株)九州国際エフエムが、9年4月に開局を予定している。
 (ウ) FM文字多重放送
 FM文字多重放送については、8年1月に有料放送の制度化が行われたのを受け、(財)道路交通情報通信システムセンター(VICSセンター)が、8年4月から、東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県において放送を開始したのに続き、8年12月から大阪府においてサービスを開始した。また、9年4月からは、愛知県においてサービス開始予定である。
 また、8年7月にはプリンタ内蔵の専用端末に各種カードを差し込むことにより、テレビと連動したゲーム・個人向けの情報等の受信を可能とするサービス(パパラジーコム)が、8年10月から、情報番組とオリジナル・メッセージを組み合わせて表示する電光掲示板サービス(パパラビジョン)が開始されている。
 (エ) 臨時災害FM放送
 既設の放送局が、地震等の大規模災害により被災し休止した場合に、その機能を速やかに回復し、被災者向けの生活関連情報等をきめ細かく提供できるようにするため、郵政省は地方公共団体等において臨時災害FM局の開設を可能とする措置を講じている。

コミュニティ放送
コミュニティ放送

VICSサービス
VICSサービス

 

 

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