平成9年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第3章 放送革命の幕開け

1 放送革命の意義と今後の展望

 (1) 産業の変化

 産業分野においては、デジタル化に伴う多チャンネル化や高画質化、通信分野との融合の動き等が、様々な変化をもたらしている。
 放送事業においては、デジタル化に伴う多チャンネル化の動きにより、新規参入が活発化している。新たに参入した事業者については、従来から放送関連の事業を営んでいた事業者に加えて、教育、燃料、家電販売、流通等、放送と関連のうすい分野において事業を営んでいた事業者も多く、放送事業の裾野の広がりが見られている。
 現在約3兆円である放送事業の市場規模については、こうした、多チャンネル放送事業の開始に伴う多数の新規参入やサービスの増加等により、その拡大が期待される。現状を見ると、市場全体に占める地上放送(NHK、民放)のシェアは7年度において75.4%と大きいが、衛星放送、ケーブルテレビといった有料放送は2桁台の成長を続けており、そのシェアも3年度3.6%から7年度には8.0%へ拡大している。
 また、放送事業への新規参入の増加は、こうした市場規模の拡大とともに、複数メディアによる競争の促進につながるものと想定される。今後、放送事業者には、放送関連事業や通信事業等を含め、幅広い視野を持った経営が必要とされてくるものと考えられる。各種アンケート結果においても、こうした他メディアとの競合に対する問題意識や新たな事業への進出意向が明確に現れているほか、既にケーブルテレビ事業者においては、インターネット接続サービスやホームセキュリティサービス等、そのネットワーク網を生かした通信事業への参入が見られている。
 また、デジタル化により放送が通信ネットワークと共通の技術基盤を持つことにより、通信と並び新たなネットワーク基盤として活用されることが期待される。教育、娯楽、ショッピング等のアプリケーションを利用するための新たなインフラとして、放送が果たす役割は拡大していくことが想定される。
 一方、こうした放送事業における変化の動きは、他の放送関連産業にも波及する影響力を有している。デジタル化に伴う多チャンネル化や高画質化の動きは、これに対応した放送ソフトに対する需要を増大させることにより、放送番組制作業の市場規模拡大に波及していくものと期待される。放送番組制作業については、衛星デジタル多チャンネル放送の開始等、新たな番組供給先の拡大に伴う独自の番組制作・運用機会の増大により、事業環境が好転していく可能性が開けている。また、放送機器製造業についてもデジタル化に伴う放送装置やチューナ・アンテナ等の需要増加により、市場規模の拡大が期待されるところである。

 

 

第3章第7節 放送革命の幕開け に戻る (2)生活様式の変化 に進む