平成10年版 通信白書

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第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け〜変わりゆくライフスタイル〜

 情報通信ネットワークが急速に高度化し我々の生活を変化させつつある。現代は、トフラーが「第三の波」で述べているとおり、農業革命、産業革命に匹敵する変革期であるといえる。
 最初の情報通信ネットワークである電信は、1835年、モールスによって、また、無線系情報通信ネットワークである無線電信は、1895年、マルコーニによって発明された。以来、今日まで、電話、テレビ等の有線系・無線系情報通信ネットワークが登場し、我々の生活に大きな影響を与えてきた。
 近年、情報通信ネットワークが、デジタル技術の進展により、インターネットの普及、デジタル放送の開始、モバイル革命等に見られるように、急速に高度化しつつある。
 高度化された情報通信ネットワーク、すなわち、デジタルネットワークは、 [1] 空間の制約を取り払い、相手が世界中のどこにいても、情報のやりとりが可能となる、 [2] 時間の制約を取り払い、いつでも、相手に情報を届けることが可能となる、 [3] 情報発信コストが低廉化し、多様な情報が流通し、多くの人がこれを享受できる、 [4] 情報の複製コストがかからないため、同一の情報を多くの人で共有できる、などの特性を有する。
 こうした特性を有するデジタルネットワークは、加入者系光ファイバ網の整備等に伴い、今後急速に普及するものと予想され、一般社会動向と関連しながら、国民生活に「多様な選択」と「自由な参加」の機会を提供し、「個性の発揮」ができる、より豊かで開かれた「デジタルネットワーク社会」を実現するものと考えられる。
 本特集においては、デジタルネットワークが生活に与えている変化と影響について、生活を、家族・友人関係、コミュニティ活動、仕事、趣味・娯楽等の要素に分け、社会全体の大きな変化を踏まえて、アンケート調査等を基に分析を行う。
 また、「デジタルネットワーク社会」を実現するためには、ネットワークセキュリティ、プライバシーの保護等の課題を解決するとともに、情報リテラシーの向上に積極的に取り組む必要がある。本特集においては、これらの点について節を設けて詳述した。  さらに、以上の分析を踏まえて、真の豊かさを獲得できる「デジタルネットワーク社会」の特徴を述べることとする。


第1節 情報化の動向

  1. 情報通信ネットワークにおけるデジタル化の進展

 情報通信ネットワークのデジタル化が急速に進展しつつある背景には、デジタル情報処理を可能とするデジタル機器の発展がある。こうしたデジタル技術の発展に伴い、社会経済活動における様々な活動を、情報通信ネットワーク上で行うことが可能となっている。
 このようなネットワークのデジタル化の進展を情報流通センサス(注1)の発信情報量と消費情報量の概念を使用して表すと、通信のデジタル化に伴い、発信情報量に占めるデジタル情報量の割合は増加しており、今後、全放送メディアのデジタル化、インターネットの普及が進めば、消費情報量に占めるデジタル情報量も急速に増加するものと考えられる(第1−1−1図参照)。

第1−1−1図 デジタル情報量の推移(発信情報量)(消費情報量)
 

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