平成10年版 通信白書

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第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け〜変わりゆくライフスタイル〜

第4節 サービスが抱える問題(ネットワークサービスを安心して利用できる環境の整備)

  3. 苦情処理体制の整備

(1) 背景
 国民生活センターの消費生活情報ネットワーク・システム(PIO−NET)の集計によると、電話、電話情報サービス、パソコン通信に関する苦情・相談件数は6年度の1,751件から8年度の8,205件へと約4.7倍増加している(第1−4−3図参照)。
第1−4−3図 国民生活センターに寄せられた苦情・相談件数(グラフ)
 また、9年度に実施した電気通信サービスモニターに対するアンケート調査によれば、電気通信サービスについて「相談したことがある」は28.6%であり、その相談先としては87.4%が電気通信事業者の窓口、次いで消費者センターの窓口が11.5%となっている。その相談結果については、「大いに不満」、「やや不満」とするものが40%強となっており、その理由として「苦情が解決しなかった」、「回答が適切ではない」、「相談窓口が専門的な知識を欠いている」等となっている(第1−4−4図、第1−4−5図参照)。

第1−4−4図 相談した印象(グラフ)
第1−4−5図 相談に不満を持った理由(グラフ)
(2) 対応策の現状と課題

ア 郵政省の苦情処理
 郵政省では、電気通信サービスに関する一般利用者や消費者団体、各地の消費者センター等からの苦情、相談、要望等の受付窓口と苦情等処理手続の明確化を図るため、9年7月、電気通信局電気通信事業部に電気通信利用環境整備室を設置し、利用者が安心してサービスを利用できるための環境整備を図っている。

イ 苦情処理・相談体制の課題
 複雑化、専門化する情報通信サービスにおいては、サービスの提供に関する苦情について利用者が事業者と相対で解決することは情報力や交渉力の格差から困難となっており、両者の関係を当事者の自治に委ねておいたのでは、消費者の利益が具体的に害されるおそれがある。また、現在、多くの利用者の苦情・相談窓口となっている消費者センターにおいても情報通信サービスの高度化には必ずしも対応できていない。従って、利用者の権利実現のための救済手続きである、情報通信サービスに対応した苦情処理・相談の円滑な実施を行う体制の整備につき、行政が支援する必要性が高まっている。

(3) 今後の制度整備の方向性と問題点
 今後の苦情処理・相談の方向性としては、単に被害を受けた利用者の苦情の解決にとどまらず、一般の利用者からの建設的な意見を受け付け、政策の決定過程に利用者が参加できる道を拓く必要がある。また、そのためには利用者が情報通信の発展に主体的に参加できるよう、情報提供を積極的に行うべきである。

 

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