平成10年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け〜変わりゆくライフスタイル〜

第4節 サービスが抱える問題(ネットワークサービスを安心して利用できる環境の整備)

  5. インターネット上の情報流通

 郵政省では、電気通信事業者の責任範囲の明確化などの情報流通に関するルールを作成するため、9年10月から「電気通信サービスにおける情報通信ルールに関する研究会」を開催し、9年12月に報告書「インターネット上の情報流通ルールについて」をまとめた。概要は、次のとおりである。

(1) 背景
 インターネットは、個人の自己表現の発展、経済取引の利便性の向上等、我々の文化的・経済的・社会的生活を豊かにしている一方、わいせつ情報や他人を誹謗中傷するといった違法又は有害な情報の流通が大きな社会問題となっている。インターネットを国民生活に根付いた、誰もが安心して利用できるコミュニケーションの手段とするためには、情報の自由な流通を確保しつつ、インターネット上の情報流通に関するルール作りを行っていくことが必要である。

(2) 情報流通ルールの具体的な在り方

ア 自己責任の原則の確認
 インターネットにおける情報発信は手軽であるが、発信者は、公然性を有する通信において、その影響力は想像以上であることを認識し、これに伴う責任とリスクを認識する必要がある。また、受信者はインターネット上の情報には信頼性の低い情報等があることを自覚し、常識や客観的事実とも照らし合わせた上で、冷静な対応を取っていくことが必要である。

イ 違法な情報発信に対する現行法の適用
 「オフラインで違法なものはオンラインでも違法」であることは国際的にも共通の認識となっており、違法な情報流通に対しては、まずは、現行法の適用で対応すべきであり、それが将来の違法行為の抑制にもつながると考えられる。

ウ プロバイダによる自主的対応
 プロバイダの責任を法律によって規定することは慎重に検討すべきであり、当面はプロバイダの自主的対応に期待していくことが適当である。また、プロバイダが発信者への注意喚起や利用停止等の措置を取ることは、電気通信事業法上可能であると考えられる。

エ 発信者情報開示(匿名性の制限)の検討
 公然性を有する通信や1対1の通信において、一定の要件の下で、適正な手続きに従って、発信者を特定する情報を開示することを可能とする手段を設けることを検討すべきである。

オ 受信者の選択を可能とする技術的手段の活用
 レイティング及びフィルタリング技術の活用及び普及のための施策を推進していく必要がある。また、迷惑通信対策として、電子メールの受信拒否機能の導入を進めていくことも必要である。

 

4. 電子商取引の実現 に戻る 6. 視聴者政策の推進 に進む