平成10年版 通信白書

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第1章 デジタルネットワーク社会の幕開け〜変わりゆくライフスタイル〜

第4節 サービスが抱える問題(ネットワークサービスを安心して利用できる環境の整備)

  6. 視聴者政策の推進

(1) 我が国の放送分野における視聴者保護政策に関する取組
 近年、青少年による凶悪な事件の発生等により、テレビ番組の暴力シーンの青少年への影響が問われていることから、放送分野における視聴者保護政策について調査研究会を開催する予定である。調査研究会においては、米国のVチップ等、諸外国の取組に関する調査、放送分野における視聴者保護政策の課題の抽出等を行い、その方策等について検討を行うこととしている。

(2) 放送番組審議機関に関する制度整備
 郵政省では放送番組審議機関の活性化を図るため、放送法及び有線テレビジョン放送法の改正を行った(9年10月施行)。改正は、 [1] 放送番組審議機関の答申・意見を尊重して放送事業者が講じた措置の内容、訂正放送制度の実施状況、放送番組に関して申出のあった苦情その他の意見の概要等を放送番組審議機関に報告しなければならないこと、 [2] 番組審議機関の答申・意見の内容その他議事の概要等を公表しなければならないこと、を規定した。なお、9年5月から、NHKと民放連が、放送による権利侵害等についての苦情を扱う第三者的な機関として「放送と人権等権利に関する委員会」を発足させており、9月から機能している。

(3) 放送と視聴覚機能に関する検討会
 9年12月、アニメーション番組を見ていた視聴者が、体調の異常を訴える事例が発生した。そこで、郵政省では「放送と視聴覚機能に関する検討会」を開催し、放送番組の視聴的効果・生理的効果等について幅広く検討を行っており、10年6月までに報告を取りまとめる予定である。

(4) 「放送における視聴者の加入者個人情報の保護に関するガイドライン」の策定
(  放送の多チャンネル化に伴う有料放送、双方向的な放送サービスの進展により、今後放送事業者に、視聴者が視聴した番組情報、料金情報等の広範囲な個人情報が蓄積されることから、これらの情報が目的外に使用されたり、外部に流出したりした場合、視聴者のプライバシーが侵害されるおそれがあり、個人情報の保護に関する対応が必要となっている。
 このため、8年9月、放送事業者が加入契約を伴う放送サービスを提供するに当たって、加入者の個人情報を取り扱う際に留意すべき必要最低限の項目と考えられるものについて、「放送における視聴者の加入者個人情報の保護に関するガイドライン」を策定した。

(5) 訂正放送制度の定着化の推進
 訂正放送制度は、真実でない放送によって名誉きそん、信用失墜等の権利侵害を受けた者が、その放送を行った放送事業者に対して、訂正又は取消しの放送の請求を行うことができ、放送事業者は、調査の結果、その放送が真実でないことが判明した場合には、訂正又は取消しの放送を行わなければならないという制度である。さらに、本制度の実効性を高める観点から、こうした放送による被害者等が番組内容の確認を行えるようにするため、放送事業者に対して、放送後の一定期間、番組を保存することを義務づけている。
 この訂正放送制度について、郵政省では、リーフレット、ポスターを作成し、全国に配布するなどその周知に努めている。

 

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