平成10年版 通信白書

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第2章 平成9年情報通信の現況

第1節 情報通信産業の現状

  3. 情報通信産業の成長が経済全体に与えたインパクト

(1) 情報通信産業の生産増加による波及効果
 ここでは、2年から8年の情報通信産業の実質生産額の増大が、我が国経済全体の実質生産額にどの程度のインパクトを与えたかを分析する。
 その結果を見ると、2年から8年にかけて、情報通信産業の生産額は22.7兆円増加している。さらに、情報通信産業の生産増による情報通信産業以外の産業への波及額も7.3兆円あり、情報通信産業の生産額の増加及び他産業への波及額の合計は30.0兆円となった。
 また、同期間の全産業における生産増加額は44.6兆円であるが、生産増加額のうち情報通信産業によってもたらされた部分が占める割合は50.9%、情報通信産業の生産増加によって他産業に波及した部分が占める割合は16.4%となっており、これらを合計すると67.3%となった。このように、情報通信産業の生産拡大は、経済全体の生産額の増加に大きく貢献していることが分かる(第2−1−13図参照)。
第2-1-13図 情報通信産業の生産増加による生産誘発効果

(2) 情報通信分野の設備投資による波及効果

ア 情報通信インフラ構築による経済波及効果
 8年における全産業の情報通信インフラ構築(情報通信機器及び電気通信施設建設投資の合計額11.0兆円)(注3)による波及効果を計測すると、誘発される生産額は19.4兆円(8年の全産業の生産額の2.1%)、誘発される名目GDPは8.1兆円(8年におけるGDPの1.6%)及び誘発される雇用者数は72.7万人であった(第2−1−14表参照)。
第2-1-14表 情報通信分野の設備投資による経済波及効果

イ 第一種電気通信事業者の設備投資による経済波及効果
 8年における第一種電気通信事業者による設備投資額は、4.1兆円であった。
 また、この設備投資により誘発される生産額は7.4兆円、誘発される名目GDPは3.3兆円、また誘発される雇用者数は30.2万人であった(第2−1−14表参照)。
 第一種電気通信事業者による設備投資の、8年時点におけるGDP誘発効果、雇用誘発効果を2年時点のそれと比較すると、GDP誘発効果、雇用誘発効果とも拡大している。一方、「鉄鋼」、「自動車」における8年時点のGDP誘発効果及び雇用誘発効果は、2年時点に比べ縮小している。
 また、誘発されるGDPが全産業のGDPに占めるシェア、誘発される雇用者数が全産業の雇用者数に占めるシェアについて2年時点と8年時点を比較して見ると、第一種電気通信事業については、誘発GDP、誘発雇用者数いずれのシェアも拡大しているが、「鉄鋼」、「自動車」についてはともに縮小していることが分かる(第2−1−15図参照)。
第2-1-15図 主要産業の設備投資による効果
主要産業の設備投資による効果の表

ウ 移動体通信事業者の設備投資による経済波及効果
 8年における移動体通信事業者の設備投資額は、1.6兆円であった。
 また、この設備投資による生産誘発効果を計測すると、2.9兆円となった。これは8年の全産業の生産額の0.3%に相当する額である。また、誘発される名目GDPは1.2兆円、誘発される雇用者数は、単年で11.6万人であった(第2−1−14表参照)。

 

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