平成10年版 通信白書

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第2章 平成9年情報通信の現況

第6節 情報流通センサス

  2. 全国の情報流通の動向

(1) 情報流通の推移

ア 情報流通量の概要
(ア) 概要
 8年度の各情報流通量について、昭和61年度を基準として指数化し、10年間の推移を見ると、原発信情報量、発信情報量の伸びが大きく、それぞれ昭和61年度の4.23倍、3.11倍となっている。昭和61年度からの10年間の年平均伸び率は、原発信情報量が15.5%、発信情報量が12.0%、選択可能情報量が7.4%、消費可能情報量が5.7%、消費情報量が6.3%であり、全情報量とも、同期間の実質GDPの伸び(年平均3.1%)を上回っている。
 最近の伸びで注目すべきは、消費情報量の推移で、7年度以降、消費可能情報量を上回っている。このような急激な増加傾向は、原発信情報量や発信情報量にも見られる。これは、原発信から消費まで情報量に変化のない電気通信系パーソナルメディア、特にデータ伝送等の伝送容量の大きいメディアが、インターネット等ネットワーク化の進展により急増していることが要因である(第2−6−3図参照)。
第2-6-3図 情報流通量等の推移
情報流通量等の推移の表
(イ) メディア構成
 各情報量のメディア構成を見ると、すべての情報量において電気通信系の割合が最も高くなっている。
 発信情報量では、電気通信系の割合は、全体の66.0%を占めており、次いで新聞、雑誌等輸送系の割合が19.7%と高くなっている。メディア別では、電気通信系の専用サービスのデータ伝送が全体の61.7%、次いで、空間系の対話(同13.2%)、輸送系の新聞(同13.1%)の順となっている。原発信情報量と比較すると、新聞・雑誌等の印刷されて流通する輸送系のマスメディアのシェアが高いことが特徴である。
 選択可能情報量では、電気通信系の割合が全体の97.1%と圧倒的に高くなっている。中でも地上テレビ放送(全体の42.8%)、ケーブルテレビ放送(同37.6%)、AMラジオ放送(同6.9%)等、放送メディアの割合が高い。ケーブルテレビ放送については、多チャンネル型ケーブルテレビの普及により、近年割合を拡大する傾向にある。
 消費情報量では、電気通信系の割合は、全体の70.4%を占めており、次いで対話や学校教育等の空間系の割合が24.6%と高くなっている。メディア別では、専用サービスのデータ伝送が全体の38.9%、次いで、地上テレビ放送(全体の19.7%)、対話(同16.7%)の順となっている(第2−6−4図参照)。
第2-6-4図 各情報量のメディア構成

イ 情報流通の分析
(ア) 情報選択係数分析
 実際の消費に対してどの程度の情報が提供されたかを見るために、情報選択倍数(=選択可能情報量/消費情報量)を求め、基準年度(昭和61年度)を1.00として指数化した情報選択係数を用いる。情報選択係数の10年間の推移を見ると、8年度の情報選択係数は1.11(情報選択倍数は16.7倍)となっている。年々増大してきたが、7年度からは減少に転じている。これは、消費情報量の伸びが消費可能情報量の伸びを上回ったからである(第2−6−5図参照)。
第2-6-5図 情報選択係数推移
(イ) 情報流通量から見たメディアの特性分析
 各メディアの特徴を、情報流通距離量と情報流通単位コスト(注16)の関係において分析する。
 主要メディアについて見ると、地上テレビ放送や書籍等のメディアは、多くの情報量を安く遠くに伝送できるメディアとして位置づけられており、映画上映や学校教育等の空間系メディアは単位当たりのコストが一番高く、情報を遠くに伝送できない。携帯電話等のパーソナルメディアはこの両者の中間に位置づけられる。
 さらに、時系列的に見ると、専用サービス(データ伝送)や携帯・自動車電話等の技術革新が激しいメディアは、情報流通距離量が拡大し、情報流通単位コストが低減している。一方、地上テレビ放送や書籍等のメディアは、情報流通距離量に大きな変化が見られず、情報流通単位コストが上昇している(第2−6−6図参照)。
第2-6-6図 情報流通距離量と情報流通単位コストの推移

(2) 情報ストック量

 「情報流通センサス」では、情報の蓄積量(以下、「情報ストック量」という。)の観点からも、情報量の計量を行っている。情報ストック量は、テレビ放送の録画やラジオ放送の録音、データベース、家庭や図書館の蔵書、ビデオソフト、オーディオソフトの保有、事業所における文書の保存、レンタルビデオ等、情報の保存・再利用を目的に1年以上保存されている情報を計量するものである。
 8年度における情報ストック量は、1.29×10ワード(対前年度比5.3%増)であり、昭和61年度と比較して1.49倍となっている。個別のメディア構成を見ると、家庭の蔵書を中心とする書籍が63.8%と大部分を占めており、以下、データベース(10.2%)、事業所等で保管される手書き文書(6.5%)、地上テレビ放送(4.9%)と続いている(第2−6−4図参照)。
 8年度の情報ストック量と昭和61年度からの増加率(倍数)を各メディアについて見ると、情報ストック量が多い10メディアの中で増加率が高いものは、ケーブルテレビ放送(10.6倍)、パソコンソフト(7.4倍)、ビデオソフト(6.0倍)が挙げられる。そのほかBSテレビ放送(329.4倍)、レンタルビデオ(30.7倍)が非常に高い伸びを示している(第2−6−7図参照)。
第2-6-7図 メディア別情報ストック量及び伸び率
メディア別情報ストック量及び伸び率の表

 

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