平成10年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第2節 高度情報通信社会の構築に向けた情報通信政策の推進

  1. 情報通信21世紀ビジョン

 郵政省では、9年2月、電気通信審議会に対し、21世紀初頭(2010年)に向けて推進すべき情報通信高度化のための総合的な政策と、これにより実現可能な未来像を提示することにより、長期的展望に立脚した情報通信政策を確立するため諮問を行い、9年6月、「情報通信21世紀ビジョン−21世紀に向けて推進すべき情報通信政策と実現可能な未来像−」と題する答申を受けた。その概要は次のとおりである(第3−2−1図参照)。

第3-2-1図 情報通信21世紀ビジョンの概要
(1) 大競争時代の情報通信の役割
 世界経済が大競争時代を迎え、国境を超えた企業活動が活発化する中、我が国は、基幹産業が成熟化し、事業環境が魅力に乏しいといった経済構造、国民が真の豊かさを実感できない社会等の問題を抱え、社会経済システム全般にわたる変革と創造が急務となっている。このような状況の下、情報通信は、国民、企業、政府等あらゆる経済社会主体の活動を従来と異なった形に再構築し、我が国の経済社会システムを横断的に変革するツールとしての役割を果たすものと位置づけ、以下の政策を総合的に推進していく。

(2) 第2次情報通信改革の推進

ア 電気通信市場の改革
 電気通信市場における一層の競争を促進するため、規制緩和、接続の円滑化、NTTの再編成を三位一体で実施し、更に21世紀に向けた「次の段階」として、 [1] 料金のインセンティブ規制の導入、 [2] 番号ポータビリティの導入、 [3] 接続ルールの見直し、 [4] 加入者系無線アクセスの整備推進等の施策を推進すべきである。

イ デジタル化による放送革命
 地上放送について2000年以前にデジタル放送が開始できるよう制度整備等を進めるなど、地上放送、ケーブルテレビ、衛星放送を受信しているほとんどすべての世帯において2010年までにデジタル化されていることを目標とする。

ウ 通信・放送の融合
 通信・放送の融合に対応するため、 [1] 「公然性を有する通信」に対するルールの策定等、及び「限定性を有する放送」に対する規制緩和と視聴者保護対策の実施、 [2] 「通信ネットワークを利用したケーブルテレビ」の実現のためのハード・ソフト分離や公正有効競争条件の検討、「ケーブルテレビ網を活用した通信」に資する技術の開発、及び周波数の共有化技術の開発、 [3] 通信・放送融合型のマルチメディア端末等の開発・標準化を進めていく。

エ ニュービジネスの振興
 成功払い報酬制度(ストックオプション制度)の活用等の人材確保の環境整備、投資事業組合方式の活用等による資金調達の円滑化等により、情報通信ニュービジネスの振興を図る。

(3) ネットワークインフラの整備
 2010年までに、有線系と無線系、移動系と固定系のデジタル化された各種ネットワークインフラをシームレスに接続し、放送のデジタル化と併せて「トータルデジタルネットワーク」を構築する。このため、固定系ネットワークインフラについては、加入者系光ファイバ網の2010年の全国整備完了等を推進するとともに、移動系ネットワークインフラについては、世界共通の次世代携帯電話システム(IMT−2000/FPLMTS)の2000年までの実用化等を進めていく。

(4) アプリケーションの開発・普及
 2010年までに、段階的に、テレワークの公務員への積極的な導入の促進、本格的ワンストップ行政サービスの実現等、各種アプリケーションの開発・普及を推進する。各地域における公共アプリケーションの開発・普及は、地域の特性等を反映して、基本的には地方自治体が主導的に行うべきである。また、個々の分野に精通している各関係省庁が相互に連携を図りながら、政府が一体となって取組を行うことが重要である。

 

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