平成10年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第3節 第2次情報通信改革に向けた電気通信行政の推進

  4. サイバービジネスの振興

(1) 次世代インターネット研究開発
 郵政省では、9年度に引き続き、10年度においても、インターネット上でのビジネスアプリケーションを普及・発展させるため、安全・信頼性が高く、超高速、大容量化にも対応し得る次世代インターネットに関する研究開発を推進する(第3−3−8図参照)。
 研究開発項目は次の5点である。
[1] 超高速・大容量化対応技術
[2] 高信頼化対応技術
[3] 電子マネー等の伝送に資する通信の安全・信頼性向上技術
[4] コンテントの保護・流通のための電子透かし技術
[5] ホームページの真正性証明技術

第3-3-8図 次世代インターネットに関する研究開発 〜研究開発5つの柱〜
(2) 次世代電子商取引実験プロジェクト
 郵政省では、民間の電子商取引の実験団体であるサイバービジネス協議会(注4)の活動を支援している。同協議会が8年4月から開始している「次世代電子商取引実験プロジェクト」は、APECの正式プロジェクト及びG7国際共同プロジェクトとなっており、国際的な連携の下に、次の二つのプロジェクトを推進している。

ア 国際相互接続
 国際的な電子商取引において通信相手や通信内容の確認を適正に行えるようにするため、APEC加盟地域との間で接続を行い、電子認証システムの国際的な相互運用性確保の在り方を検証するものである。

イ インターネットキャッシュ
 インターネット上で現金と同様の転々流通性や匿名性の機能を実現する電子マネーである「インターネットキャッシュ」の実用化と、そのために必要なインターネット上のデータの安全・確実な伝送技術の確立を図ることを目的とするものである。
 同協議会では、このほか、電子商取引におけるプライバシーの保護に資するよう、「サイバービジネスに係る個人情報の保護に関するガイドライン」を9年12月に取りまとめ、公表している。

(3) ネットワークを通じた認証業務の在り方
 インターネットに代表されるネットワークを利用した取引が、一般的に行われるようになってきたことに伴い、ネットワーク上で通信を行っている者が本人であることを認証したり、通信内容の証明を行う「認証業務」の必要が高まっている。この認証機関の在り方について、郵政省では、8年10月から「ネットワークを通じた認証業務の在り方に関する調査研究会」を開催してきたが、9年5月に報告書を取りまとめた。その概要は次のとおりである。

ア ネットワーク認証の活用が想定される主な分野
 通信ネットワークを通じ、提供される認証(ネットワーク認証)は、企業間取引、企業内決済、対消費者販売、金融サービス、遠隔医療、電子公証、行政手続といった様々な分野において活用されていくことが予想される。

イ ネットワーク認証業務の範囲
  [1]
本人確認業務としては、公開鍵の登録・管理、公開鍵証明証の発行等がある。
  [2]
内容確認業務として、時刻証明、送達証明、内容証明がある。
  [3]
その他の業務として、秘密鍵の生成・管理・寄託、顧客の信用確認がある。

ウ ネットワーク認証業務に関する制度的枠組みの在り方
 提供主体に関する基本的枠組みには様々なものが考えられるが、公的機関に限定する特段の合理性は存在せず、基本的には民間の機関による提供を積極的に認め、必要な範囲で規律を検討していくというアプローチが望ましい。

 

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