平成10年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第8節 宇宙通信政策の推進

  2. 衛星アプリケーションの開発・実証の推進

(1) ポスト・パートナーズ計画
 郵政省は、4年11月から8年3月まで、「パートナーズ計画」と呼ばれる、アジア・太平洋地域の諸国を対象にETS−Vを利用した衛星通信に関する共同実験を実施した。この実験には、大学、病院、研究機関等、日本国内12か所と海外5か国(タイ、インドネシア、フィジー、パプア・ニューギニア及びカンボディア)が参加した。
 現在、パートナーズ計画の成果を生かし、動画像伝送を可能としたシステムの充実を始め、実験内容の拡充及び参加国の拡大を図り、GIIやAIIをめぐる動向等を踏まえ、アジア・太平洋地域の情報通信基盤の整備及び人材育成等に貢献すべく、「ポスト・パートナーズ計画」として衛星通信国際共同実験プロジェクトを推進している。この実験を通じて、教育・医療・学術研究等の分野で衛星通信をどのように利用できるかを実証するとともに、人材育成のための技術移転を行うこととしている。

(2) 衛星アプリケーション実験推進会議
 衛星アプリケーション開発は、衛星通信発展のために、衛星開発と両輪をなすものであり、電気通信技術審議会答申「宇宙通信の将来像と今後の研究開発の推進方策」(8年5月)において、21世紀の情報通信基盤の一翼をなす衛星通信の利用を一層促進するために、様々な衛星アプリケーションの開発を推進すること、及びこのために必要な産学官が連携した衛星テストベッドを整備することが提言されている。
 これを受け、郵政省では、衛星アプリケーション開発に資するG7のGIBNプロジェクトの一環である日米、日欧間の高速衛星通信実験とともに、日韓高速衛星通信実験や国内アプリケーション開発を総合的に推進することとし、9年10月から「衛星アプリケーション実験推進会議」を開催して、産学官の連携の下、衛星テストベッドの整備及びこれを用いた様々な実験の一層効率的・効果的な推進に努めている。

ア 日米実験(日米共同高速衛星通信実験)
 日米共同高速衛星通信実験構想の推進について、6年11月に意見が一致し、9年2月に第一段階の実験として45MbpsのATM接続を達成し、同年3月には高精細ビデオ・ポストプロダクション実験のデモンストレーションに成功した。今後、第二段階の実験として、10年2〜3月から、155MbpsのATM高速衛星回線を用いた画像伝送実験を行う予定である。

イ 日欧実験(JEGプロジェクト)
 9年7月に日本−ESA行政官会議で一致して取り組むこととされたJEG(注22)プロジェクトプランに基づいて、日本とヨーロッパを高速衛星回線で結び、実験を行う。意見の一致をみた当初の実験テーマは、 [1] DAVIC(注23)版Video-on-Demand相互運用性実験、 [2] 衛星通信を統合したインターネット、 [3] 地球観測データの交換実験、である。

ウ 日韓実験(日韓高速衛星通信実験)
 9年9月に韓国情報通信部において行われた局長級会合で一致して取り組むこととされた高速衛星通信実験の具体的な推進方法に基づいて、当初は、 [1] ATMによるLAN間接続、 [2] ATMによるマルチメディア通信、 [3] 高精細画像伝送実験(立体画像を含む。)、 [4] リアルタイムVLBI、 [5] 遠隔医療、の実験を行う予定である。

エ 国内アプリケーション実験
 8年度補正予算で可搬地球局を配備するなど、衛星テストベッドの整備を進めている。なお、実験テーマについては、9年12月から募集を開始しており、幅広く実験を実施していくこととしている。


 

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