平成11年版 通信白書

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第1章 特集 インターネット

(4)MRO

オフィス用品等の調達業務の請負サービス

 最終消費財分野では、現在MRO(Maintenance, Repair and Operation)と呼ばれる分野での企業向けインターネットコマースの成長が著しい。MROとは、企業が経費や間接費として支出する最終消費財購入のことであり、具体的には、文具、書籍、パソコン関連商品、オフィス家具など中間投入にならない支出部門を指す。米国では、企業から一般消費者に対して商品の販売を行う店舗よりもむしろMROの方が先に成功していたといわれている。
1)米国インスティル社(http://www.instill.com/)
 米国のインスティル社(Instill Corporation)の運営するE−Storeは、MROでの成功事例の一つである。これは、レストランをはじめとして、ホテル、企業、学校、病院などにおける飲食サービス施設専門のインターネット上の店舗であり、1997年には1億8,000万ドルの売上げがあった。同社では、多数の食品関連流通業者から最新商品カタログの提供を受けて、E−Storeのホームページに掲載し、レストラン等から注文を受けるという販売仲介が主たる業務になっている。レストラン等にとっては、今まで限られた業者から限られたサービスしか受けることができなかったのに対して、E−Storeを利用することで様々な価格、商品を持った多数の業者に一度に発注を行うことができるため、調達業務の効率化とコストの削減を図ることができる。流通業者にとっても、営業活動を簡素化しつつも顧客層の拡大が見込まれること、受注時のペーパーレス化等により業務が簡素化できることなどのメリットがある。つまり両者にとって業務の効率化につながるサービスになっている。
2)アスクル(http://www.askul.co.jp/)
 我が国では文具等の事務用品の販売を行っているアスクルなどが、このMROにあたる。従来は企業で事務用品等の購入を行う場合、総務部門等で各部門で必要とするものを取りまとめて注文していたが、アスクルのインターネット販売の場合にはその都度ホームページ上で必要な商品の購入ボタンを押すだけで注文が可能となり、翌日には商品が配達される。総務部門でオフィスサプライの必要数量を取りまとめたり、発注の度に精算する必要がなくなるため業務の簡素化につながっている。現在のところ、アスクルのインターネット上での売上げは全売上げの1割程度であるが、その額は月間約1億8,000万円に上っている。
3)ビジネス・コープ(http://www.bcoop.co.jp/)
 ビジネス・コープも一種のMROとなる業務を提供している企業である。大企業は通常大量に文具等の事務用品を購入するため、どのような商品でも比較的安い単価で購入することが可能である。しかし中小企業の場合には大量購入しないケースが多く割高になりがちである。ビジネス・コープではこの点に着目し、多数の中小企業から注文を集めて事務用品等を共同購入するというビジネスを営んでおり、その受発注にインターネットを利用している。会員企業のみがアクセスすることが可能なこのホームページでは、常に最新の商品・価格情報が掲載されており、いつでも発注が行える。
 このように、MROを提供している企業は、単に企業相手にインターネットコマースを行うのではなく、その特徴を生かして顧客企業の業務を自社のホームページ上で取りまとめることで、企業の業務の一部を請け負い、又は効率化し、利用企業のコスト低下を促すような付加価値をも提供している。

 

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