平成11年版 通信白書

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第1章 特集 インターネット

3 企業間取引市場
(1)市場規模

原材料取引市場の市場規模は少なくとも2兆4,314億円

 企業のインターネットを利用した商品販売はこの数年間一貫して増加している。10年にはさらにインターネットを用いてオンラインで原材料等の調達を行う企業間取引が急激に増加した。しかも企業間取引は総額が大きいため、インターネット技術を用いた取引の規模も非常に大きなものとなっている。米国商務省は、1998年4月の報告書「The Emerging Digital Economy」(http://www.ecommerce.gov/emerging.htm)の中で、米国における現状として「インターネットコマースは企業間において最も成長している」と記述しているが、我が国にも同様の状況が訪れているといえる。
 「インターネットコマース調査」では、各業種の主要企業及び過去2年間に新聞・雑誌等にインターネット上で原材料取引を行っているとして掲載された企業に対して、このような原材料取引の有無と、その取引規模について質問を行った。これによりインターネット経由の原材料取引の市場規模は少なくとも2兆4,314億円に達していることがわかった(図表)。
 業種別にみると、インターネット等を経由して原材料調達を行っているのは、ほとんどが製造業である。特に、自動車、電機、機械の各業界が我が国におけるこれらの原材料調達のほとんどを占めている。これらの業種は系列企業化が進んでいるなどの理由により、取引先の企業が特定の企業に限定されており、インターネット技術を用いた統一的な受発注様式を導入しやすいものと思われる。
 これらの原材料取引の規模は全インターネットビジネスと比較すると大きなウェイトを占めているが、我が国の産業規模からみれば、インターネットを使った企業間取引はようやく緒についたばかりであるといえる。また、現在インターネット上で情報交換や商談は行っているけれども調達(受発注の意思表示)までは行っていないという企業も多く、すでに体制的にはインターネット取引を実施することは可能だが取引先が対応できていないため導入していないと回答したところもある。こうした企業がインターネットを利用して調達まで行うようになれば、市場は大きく伸びるものと思われる。
 我が国のインターネットを利用した原材料調達システムは、「インターネット」のうち登録者のみがアクセス可能な「エクストラネット」を利用していることが多い。これは我が国の企業がセキュリティを優先していることと、系列企業間での取引が多いため公衆網を利用するメリットが少ないことに起因する。逆に、米国では取引経験のない企業に対してもオープンな環境で仕様書や見積りのやり取りを行い、新規契約先を開拓しようとすることが多い。

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